世間のニーズが高まっている動画制作を専門会社やフリーランスに依頼するメリットを最大限に利用するには、依頼する方法や納品までの流れを理解することが大切です。
この記事では、動画制作を依頼する際のコツや注意点、納品までの流れを紹介します。

動画制作を制作会社に依頼するメリット

動画制作を自社で行わず外注する企業が多いのはいくつものメリットがあるためです。以下で、主にどのようなメリットがあるのかを解説します。

質の高い動画を作れる

制作会社は動画制作のプロであり高い技術とノウハウを持っているので、自社で作るよりも質の高い動画制作が可能です。それにより自社のブランド力強化やPR力の向上につなげられます。自社制作の場合、企画構成、撮影、編集、音響といった各工程をスムーズにこなし、プロと同じような質の高い動画を作るには難しいでしょう。

高額な機材をそろえる必要がない

制作会社は動画制作をメインに扱う企業であり、高品質の動画を制作するのに必要な機材が一式そろっています。制作会社に動画制作を依頼すれば、自社で高額な機材をそろえる必要はありません。

動画制作のためだけに自社で一流の機材をそろえるのは、ほとんどの企業では大きな負担がかかります。

セキュリティ対策がしっかりしている

動画制作の目的によっては、未公開の新商品情報など社内の機密情報を制作会社に伝えなくてはなりません。具体的には、新製品の情報・新サービスの概要・ロゴなどのデータ・動画の出演者・撮影場所など、動画制作に関するすべての情報が機密情報の対象です。

信頼できる制作会社は、発注元の機密情報が漏洩しないよう情報管理に関するルールが徹底されており、しっかりとしたセキュリティ対策を講じているところがほとんどです。また、制作契約時に秘密保持契約を結ぶので安心して制作を任せられます。

動画制作をフリーランスのクリエイターに依頼するメリット・デメリット

動画制作は、制作会社に依頼する以外にフリーランスのクリエイターに依頼するのもひとつの手です。フリーランスに依頼するメリット・デメリットを解説します。

フリーランスに依頼する大きなメリットは、制作会社に依頼する場合と比較して費用を抑えられる点にあります。一般的な制作会社では、案件ごとに複数のスタッフが関わることが多いため、その分の費用がかかります。フリーランスの場合は打ち合わせ・撮影・編集などすべてをひとりでこなすため、トータルコストが抑えられます。

また、細かく柔軟に対応してもらえるのも、フリーランスに依頼するメリットです。フリーランスは、個人で仕事を請け負うので、実際に制作する立場の人物と直接やり取りができます。複数のスタッフが関わるケースより認識のズレが起こるリスクも少なく、迅速な対応を受けられます。

一方で、フリーランスに依頼するデメリットは、納品されるまで品質の確証を持ちにくい点です。そのため事前に面談を行い、ポートフォリオを提出してもらうなどして実績の確認を行うことが重要です。個人のスキルや経験値、得意分野と制作してほしい動画の内容が適合しているかなどを確かめましょう。

また、ポートフォリオと合わせ、契約前に情報管理やセキュリティ対策が万全であるかどうかの確認も大事です。

動画制作の依頼方法･納品までの流れ

動画制作を依頼するときは、納品までの全体的な流れを知っておくと安心です。動画制作の依頼方法や納品までの流れを解説します。

依頼・打ち合わせ

最初に、依頼者が動画の要望をまとめ、制作会社と打ち合わせを行います。ターゲットや配信媒体、発信したいメッセージなどを制作会社に伝えるため、事前に社内である程度まとめておくとスムーズに進みます。

このとき重要となるのは「KPI（重要業績評価指標）」です。動画制作を依頼する段階でKPIを設定し、達成具合を検証しながら改善点を見つけることでさらに動画の効果を高められます。

情報設計から台本作成まで

次に情報設計を行い、それを基に台本を作成します。

情報設計（Information Architecture）とは、クライアントの要望や情報などを整理し、どのように動画を作成するのが効果的かをあらかじめ設計しておくことです。

制作社は依頼者へのヒアリングを行い、要望や目的を明確化・共有していきます。ヒアリングを基に、目的を達成するためのアイデアを出しながら、情報設計を行います。完成した情報設計の内容を基に、企画案・シナリオ・コンテ・台本の流れで、目に見える形式でまとめます。依頼者と制作会社が議論を重ね、修正をしながら完成度を高めていきます。

撮影（プロダクション）を行う

台本が完成したら撮影に入ります。撮影はプロダクションとも呼ばれ、コンテンツの質を左右する重要な工程です。

高品質な動画を撮影するために、台本に適した撮影現場やキャストの選定、カメラや照明などの機材の確保および設置など事前準備が必要です。

動画の編集を行う

撮影後は、シーンごとに撮影した素材をひとつにつなぎ合わせ、映像を編集します。この編集作業が、動画制作で最も時間を要する工程です。編集により、動画が劇的に変化して魅力ある作品に仕上がります。

まずシーンを大まかにカット割りする仮編集を行い、その後細かいカット割りや調整、BGMやナレーションなどの音入れ、エフェクトなどを加えてひとつの映像作品として仕上げます。

試写を行い、動画が納品される

動画の編集作業がすべて終わったら試写を行い、内容を確認します。試写の結果、問題や修正点などがなければ、動画データが納品されます。

この段階で素材の撮り直しといった大きな修正が起こらないよう、打ち合わせの段階でしっかりと認識を共有しておくことが重要です。受領後の修正依頼は有料の場合が多いので、注意が必要です。

動画制作を依頼するときに準備した方が良いこと

動画の質を高め、制作をスムーズに進めるために、依頼前の段階で準備しておくべきことを解説します。

動画の目的やターゲットを明確にする

動画制作の目的やターゲットを明確にしておきます。これらが明確でないと、情報設計や動画内容、編集方法も定まらないためです。

例えば、商材のPR動画制作を希望していても、ターゲットが20歳の学生なのか、40歳の社会人なのか、その動画で達成したい目的が何かによって、台本の内容も制作の流れも大きく変わります。ターゲットの心に響く動画を作るには、制作側と依頼側双方で動画の制作目的を明確にしておくことが大事です。

予算や納期を設定しておく

目的やターゲットとともに、予算や納期の設定も重要です。

予算が決まっていればどの制作会社に頼むかも選定しやすくなります。また、どのような技術や設備を使うかといった制作範囲を限定でき、制作側は必要なリソースを最適化できます。さらに、予算設定を行えば制作コストを把握できるので、無駄なコストを削減できます。

納期を設定していれば、納品までのスケジュール管理や品質管理を行えます。進捗状況を把握でき、必要な場合はスケジュール調整も行えます。セミナーやイベントなどに向けた動画制作であれば、途中で修正や遅延が発生することも想定し、余裕を持った納期設定が大事です。

自社や商材に関する情報をまとめる

認識にズレが生じないよう、事前に資料をまとめておきましょう。例えば、参考動画は制作側にとってもイメージがつかみやすく、希望通りの動画が作りやすくなります。

制作側は、ストーリーやナレーションの文章、動画イメージなどに用意された資料をもとに絵コンテを作成します。その資料が動画制作の骨組みになると言っても過言ではありません。そのため、自社や商材に関する情報などを資料にして、もれなく制作会社に伝える必要があります。

動画で使用する素材を用意する

動画制作には、さまざまな素材を活用します。会社のロゴやイメージキャラクターなどのデータ、商材画像、グラフや統計のイメージなどは、あらかじめ用意しておくとイメージが伝わりやすいです。あとから素材のやり取りをすることで制作が滞ってしまう心配もありません。

また、希望の動画に似たようなイメージの動画を探しておいたり、撮影してほしいアングルの写真などを用意したりしておくのも、制作側に要望を伝えるのに良策です。

動画制作を格安で依頼するコツ

動画制作は自社の課題を解決する手段であり、動画制作そのものが目的ではありません。限られた予算で、満足のいく動画を制作するためにはいくつかのコツがあります。

動画制作の費用は、工程ごとにかかってくるため、自社で内製できる作業があれば費用を抑えられます。例えば、動画編集やナレーションができる人材が自社にいれば、撮影など必要な工程だけを外注し、編集やナレーションは内製することが可能です。
また、撮影スタジオの代わりになるスペースが社内にあれば、その場所を活用するのもひとつの方法です。
さらに、動画の内容にも着目しましょう。実写動画では、スタジオ費やロケハン費、キャスティング費などがかかりますが、アニメーションにするとこれらの費用がかからないので、全体の費用を抑えやすくなります。

動画制作費は、一般的に動画の再生時間によって変動するため、再生時間を短くすることでも費用を抑えられます。絵コンテ提示の際、不要なカットはないか、ナレーションが冗長気味ではないかなどをチェックしましょう。無駄に長い動画は、相手に伝わりにくいだけでなく制作費用も余計に掛かるので要注意です。

まとめ

動画作成を制作会社に依頼すると、プロならではの仕事により、質の高い動画を作れます。動画制作を依頼するメリットは多い一方で多額の費用がかかります。少しでも費用を抑えるには、必要な工程のみを外注する・素材を準備しておくなど、自社でできる対応を行っておくことが大切です。

この記事で解説した内容を参考に、満足のいく動画制作を目指して取り組んでいきましょう。