会社や商材のロゴデザイン制作にあたっては、内製できないときは制作会社やフリーのデザイナーなどに依頼する必要があります。そこで、具体的な依頼先の選定方法や依頼の流れ、依頼前に確認しておきたいポイントについてわかりやすく解説します。
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ロゴデザインを依頼可能な外注先にはいくつかの選択肢があります。具体的な選択肢と特徴について解説します。
オーソドックスな方法としては、ロゴ制作会社に依頼する方法があります。ロゴ制作を専門としているため、制作イメージのすり合わせからラフ案の提案、実際の制作・修正やロゴガイドライン作成まで一貫して任せられます。
他社と被りにくいロゴの提案ができたり、特定の業界での制作実績が豊富だったりと制作会社によってさまざまなメリットがあります。ロゴ制作に関して有効な提案やアドバイスをもらいやすく、自社のコンセプトに合ったロゴデザインを制作してもらえる安心感があります。
ロゴ制作を専門としないデザイン会社や事務所へ依頼することも可能です。デザイン全般を扱うため、ロゴに留まらずチラシやパンフレット、あるいはホームページ制作も一緒に行えることも多くあります。しかし、ロゴに特化していないため、ロゴ特有の商標登録やガイドライン制作まで請け負ってくれない場合があるのは注意点です。
フリーランスへ依頼する場合、クラウドソーシングサイトを活用する方法があります。クラウドソーシングサイトでデザイナーを個別に探すこともできますが、予算に限りがあるならコンペ方式がお奨めです。
コンペ方式ではひとつの制作依頼に対し、複数のフリーランスデザイナーがラフ案を提出します。その中からもっとも気に入ったものを選べるのが魅力です。場合によっては応募者が多数集まり、数十、数百の案から選べる可能性もありますが、実際に支払う費用は採用する1例分のみで済みます。
ただし、コンペ方式の場合は仲介サイトのルールによって、採用・不採用に関わらず応募があったロゴデザインは公開されるのが一般的です。スタートアップ企業や新商材のロゴ制作で、サービスや商材を発表するまで一般への公開を控えたい場合、別途オプション料金が必要になることがあります。
個人デザイナーへ依頼する場合、クラウドソーシングサイトによってロゴ制作が得意な人材を探したり、SNSやブログなどを通じて連絡し個人と直接取引きしたりする方法もあります。
特定の人材を探してから依頼するので、コンペ方式と異なりそのデザイナーならではのオリジナリティを発揮したロゴを制作してもらえます。また、制作前に細かく打ち合わせができるので、要望を反映してもらいやすいのもメリットです。
ただし、個人デザイナーの中には非常に人気が高く、企業案件であっても数ヶ月待ちになる場合も珍しくありません。また、条件が折り合わなければ依頼を断られてしまうこともありえます。
一方で、個人デザイナーは会社のバックアップがない分、デザイン以外の部分の対応が制作会社に比べて十分ではない可能性があります。例えば、著作権や商標登録などの知識が浅かったり、CI・VIのガイドライン制作は行わなかったりということも考えられます。契約前にどこまで対応可能なのかの確認や報酬や権利に関する認識をすり合わせておくのがトラブル回避の秘訣です。
ロゴ制作の依頼は、おおまかに次の流れで進みます。
1.ヒアリングをもとにロゴをデザイン
2.デザイナーからラフ案の提出
3.依頼者の希望に応じて修正作業
4.商標に問題がないかチェックし、商標登録
5.最終チェック
6.ロゴガイドラインの作成
依頼後はまず理想のイメージやロゴのコンセプト、使用目的などを制作者に伝えることから開始します。どのようなロゴを制作するのかお互いにイメージを共有できたら、デザイナーからいくつかのラフ案を提示してもらいます。
依頼者はその中から気に入ったものを選ぶか、必要であれば修正などの仕上げの作業を依頼します。
ただし、すでに同じようなロゴが商標登録されていれば、権利を侵害してしまう恐れがあります。そのため、できあがったロゴが他社の商標権を侵害しないかどうか、特許庁に登録されている商標と照合する必要があります。特許情報プラットフォームを通じて名称や画像検索を行い調査するのが一般的ですが、商標登録作業と併せて特許事務所や弁護士などへの依頼もできます。商標権侵害の恐れがないことがわかれば、商標登録を行いましょう。
最後に、ロゴは、決められたカラーや比率が少しでも変わってしまうとロゴとしての機能を失ってしまいます。そのため、正しく使用していくためにロゴガイドラインの作成が必要です。ロゴ制作会社であればガイドライン作成にも対応しています。しかし、フリーランスに依頼する場合は制作対応していないことも多いので、事前に確認が必要です。
ロゴデザインを外注する場合、次のポイントを踏まえた上で依頼先を選定しましょう。
できるだけ制作実績が多く、高いクオリティで制作してくれる会社やデザイナーを選びましょう。制作実績が多いことは、今まで数多くの顧客から選ばれてきた証です。経験豊富であればあるほど、こちらの要望や修正意図を汲み取ってもらえる可能性が高いでしょう。
逆に実績がない会社やデザイナーの場合、仮にロゴ制作専門の会社であっても依頼に不安が残ります。また、安価に制作できる場合はクオリティが低いことも考えられます。
そのため、依頼前に過去の実績やデザイナーのポートフォリオを確認することが大切です。事前に確認しておけば、好みのロゴを作成してもらえるかどうかも判断できます。特にフリーランスへ依頼する場合、デザイナーによって得意分野や作風がまったく異なるため事前確認は必須です。
提案力やサポート体制に定評のあるロゴ制作会社やデザイナーを選びましょう。理想のロゴを制作してもらうのに欠かせないのが相手のヒアリング力です。提案力がない会社やデザイナーの場合、ヒアリングを十分にせず依頼者の希望に応じてただ制作するだけになってしまうため、問題や改善点があったとしてもアドバイスがもらえません。
また、適切なヒアリングができていなかった場合、制作意図やコンセプトを正確に汲み取れず、意図したものと異なるロゴができあがってしまう場合もあります。修正が重なり、費用がかさんだり納期に遅れたりするリスクもあります。提案に明確な意図や根拠を示してくれる会社やデザイナーであれば信頼できます。
具体的な探し方としては、公式サイトで紹介されている過去の相談事例を確認したり、口コミを探したりする手があります。また、正式な依頼前に無料相談できるケースもあります。
制作会社やデザイナーによって料金設定にはかなり幅があります。ラフ案の提出や修正対応の回数など、どこまで料金プラン内で対応可能か確認しておきましょう。
一般的には料金プラン内で1~4案ほどのラフ案提出と、1~3回ほどの修正対応が可能です。しかし、外注先によってはすべてオプション扱いになっており、追加のラフ案を依頼したり修正回数が増えたりすると料金が回数単位でアップすることもあります。
一方、制作会社やデザイナーによっては、数は少ないながら修正無制限で対応してくれるケースもあるので制作イメージが固まっていなかったり細かい注文があったりする場合に向いています。
次に、ロゴデザインを依頼する際、スムーズに進めるためのポイントを解説します。
ロゴの制作依頼をする場合は、単なるデザインのイメージだけでなく目的やコンセプト、使用場所、ターゲット層、企業理念や会社の特徴なども併せて伝えましょう。
ロゴには会社や商材のイメージをほかの人に伝える役目があります。ロゴ制作のバックグラウンドをデザイナーが正しく把握していないと、会社や商材の魅力を最大限に引き出せません。
会社の認知度を上げたい、製品の特徴をロゴだけで直感的に伝えたいなどの制作目的や企業情報は、できるだけ早い段階から制作会社やデザイナーと共有することが大切です。
うまく共有できていないとラフ案を提出してもらってもしっくり来ず、修正依頼を重ねることになってしまいます。コストがかさむ原因になるため、可能な限り事前の打ち合わせを細部まで入念に行いましょう。
ロゴを制作する際は必ずガイドラインや著作権・商標などの権利関係について確認しましょう。ロゴは名刺や商材パッケージ、冊子やホームページなどありとあらゆる場所に掲載するもので、社外の関係者も利用することがあります。そのため、ロゴをどのようなときに、どのようなルールで使用するのか、逆にどのようなときに利用してはいけないのかを定めた明確なガイドラインが必要です。
ガイドラインのないままロゴを使用すると、ロゴが不適切な使われ方をしてしまい、ブランドイメージが低下したり、最悪は訴訟に発展したりするリスクもあるため注意が必要です。
また、原則としてロゴを制作した段階では、ロゴの著作権は制作者側にあります。そのため、商用利用する場合は著作権を相談の上譲渡してもらうのが一般的です。制作者によって著作権譲渡に対応しているかどうかは異なるため、依頼前に必ず確認しましょう。
ロゴデザインにおいては、ホームページやパンフレットなどの制作とは異なるNGポイントも存在します。そこで、ロゴデザインで特に避けるべき事柄について解説します。
一般的なフォントでロゴを制作するのは避けましょう。一般的なフォントはすでに多くの人が見慣れているためインパクトがなく、ロゴとしての効力が弱くなってしまいます。
また、競合他社の多くが個性的なフォントやデザインを用いる中、一般的なフォントで制作してしまうと会社の独自性のアピールもしにくくなります。また、人気のあるフォントを使用すると他社と似通ってしまいやすいのも注意点です。
フリーフォントではなく有料フォントを活用したり、比較的有名なフォントであっても文字のスペースを調整したりして個性を出しましょう。
流行にのったデザインは、制作当初は注目や話題を呼ぶかもしれませんが、月日が経つにつれ話題性が薄れるだけでなく、デザインとして古びてしまうでしょう。
特に一時のイベントに使うロゴではなく、社名や商材名といった今後長く使用していくものに付属するロゴは普遍的なデザインが重要です。長く利用し続けられるロゴであれば、今後ブランドイメージを定着させるのにも役立ちます。
細部まで非常に細かい意匠を使用した複雑すぎるデザインは好ましくありません。
ロゴは社名や商材などと併せて覚えてもらうものなので、シンプルな方が人の記憶に残りやすくなります。また、複雑なデザインだとかえって何が書いてあるのか読みづらく、デザインどころか社名や商材名そのものさえ覚えてもらえないこともあります。
さらに、物理的な理由もあります。例えば小さいフォントを使用している場合、名刺のような小さなスペースに印刷したときつぶれて読めなくなってしまったり、誤って読まれたりする恐れもあります。
他社との差別化にデザインを複雑化する場合は、デザイナーだけでなく社内の意見も広く聞き、客観的な視点での判断が必要です。
ロゴデザインを制作する場合、実績や経験が豊富なロゴ専門の制作会社やデザイナーへ依頼するのがお奨めです。予算に限りがある場合や、多くの提案がほしい場合はクラウドソーシングサイトのコンペ方式による募集もできます。
どちらにしてもロゴデザイン制作においては、商標登録やガイドラインの作成といった使用ルールに関する知識が必要です。また、一般的なフォントや流行のデザインの使用が推奨されないという特有の事情もあります。ロゴデザインの制作方法を把握し、実績豊富で提案力のある外注先を選定してスムーズな依頼をしましょう。
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