CGの活用はテレビ・広告・商材案内などさまざまな分野に広がっています。もし本格的なCG動画の作成を検討しているなら専門的な知識と技術が必要になるため、CG制作のプロに依頼するのがお奨めです。この記事では、そのCG制作を外注する際の相場やCGの制作工程、費用を抑える方法などについて解説します。
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CG制作業界では、1人工(にんく)あたり5万円程度が相場です。1分の動画制作を依頼する場合は、100~140万円が業界の相場(目安)です。1カットあたりで考えると、相場は大体15~20万円です。なお、一般的な動画は1秒30フレームで構成されています。そのため、CG映像制作での1カット(10秒)は、約300フレームを基準にして構成します。
人工とは、作業あたりの費用計算で使う単位です。例えば、1人工は一人のCGクリエイターが一日フル稼働したという意味です。
制作費用の総額は、クリエイターの作業時間と工数によって大きく変動します。見積もり金額を大まかに算出するには、CGクリエイターの人数×制作工数で計算できます。突発的に依頼した場合は、特急料金などの追加費用がかかることがあります。
CG制作費用の相場を用途ごとに分けて紹介します。CGの用途によって制作工数が異なるため、かかる費用も変わります。なお、ここで紹介する相場は一般的なものです。ケースバイケースのため、実際の費用を把握するには業者との相談が必要です。
テレビ向けCG動画の相場は10カット前後で80~150万円です。目安のため、必要なカット数や修正回数、納期などによって金額は変動します。
テレビ番組のCMやクイズなどのエンタメ番組に使われるCG動画の場合は急ぎの依頼が多く、短納期での仕上げが求められます。その上、短い尺でも伝わるように端的で分かりやすく仕上げる必要もあります。
報道・ワイドショーで使われるCG動画の場合は、速報性が求められます。放送に間に合わせるため特急対応で作業することも珍しくありません。
マスメディアであるテレビ番組は視聴者数が多いこともあり、短納期でも正確さや質は犠牲にできません。そのため、人件費と特急対応に関わる追加料金が発生し、費用が高くなりがちです。
インフォマーシャル向けCG動画の相場は、10カットで約150万円~が目安です。
インフォマーシャルとは、情報(インフォメーション)とCM(コマーシャル)を組み合わせた造語です。テレビショッピングや29分などの長尺CMなどが該当します。長い尺を取って商材のメリット、使用感、利用シーンなどの魅力を伝え視聴者の購買意欲を高めることが目的です。
インフォマーシャル用の映像にCG動画を組み合わせることで、商材イメージを分かりやすく伝えられるメリットがあります。例えば、インフォマーシャルで販売されている健康食品や美容系アイテムにCG動画を使うことをお奨めします。商材を使うとどんな変化があり、どう作用するのかなどの説明ができるためより明確に伝えられます。
広報・商材紹介向けの動画の相場は、尺などにもよりますが100~250万円程度が目安です。
商材紹介動画の制作では、実物を見せられない状況が少なくありません。しかし、商材のイラストやCADデータがあれば、それをもとにCGを作成し動画を制作できます。そうすることで、商材の魅力をグラフィックスで表現するほかに、商材ごとで伝わりにくい部分も分かりやすく仕上げることが可能です。
例えば、工業製品の複雑な構造・仕組み・動きの説明や化学反応のイメージなどは、CG動画が得意とするところです。映像に細かい表現が必要なケースが多いため、修正費用が重なることも考慮するとトータルの費用が高額になる傾向があります。
広報分野では会社案内の映像にCG動画を活用するケースがあります。例えば、会社の雰囲気や企業理念、ビジョンなどの抽象的な内容は、CGでイメージをビジュアル化することでより簡潔に伝えられます。
企業広報、商材紹介向けのCG動画はDVD化もお奨めです。DVD向けCG制作の費用は、10分の尺で5カット前後の場合で考えると70~100万円程度です。
DVDに収めた動画は関係各所に配布したり、公開範囲を限定したオンライン視聴などに利用したりすることが可能です。そのほか、研修・教育用にも適しています。何度でも視聴できる点を活かし、講師なし・リモートワーク環境での社員教育にもお奨めです。
CG制作の工程について解説します。何の工程にお金が発生するのかを把握することで、どこにお金をかけるべきか、削減すべきかが明確になります。
モデリングの工程で行うのは、コンピューター上の3次元空間に3Dの立体物を作成する作業です。制作にはCGソフトウェアを使います。人物・建物・風景・小物など、制作に必要な3Dモデルはすべてゼロから手作業で作成します。
モデリング工程のファーストステップとして、CGソフトウェア内蔵の平面や立方体、球体などの単純な3Dモデルを作成します。そこから、人物や小物といった目的の形へ整えていきます。
CGで扱う3Dモデルは、点・線・面の3要素で構成されたポリゴン(多角形)でできています。それらの3要素の変更やスケール、回転などの操作を駆使して目的の形になるまでモデリングをしていきます。
デジタルの作業ですが、粘土をこねて形を作るのと似た作業です。単純な3Dモデルを土台にして作り込むとはいえ、ほとんど何もないところから制作が始まります。この時点で時間も費用もかかりがちです。
モデリングで作成した3Dモデルを動かす場合は、リギングという設定が必要です。リギングでは、3Dモデルにスケルトンの関連付けをします。スケルトンとは、3Dモデルに埋め込む人間の骨のようなものです。その骨のひとつひとつはボーンと呼び、関節や可動部分として機能します。
3Dモデルの人間を歩かせるなど、動作やポージングをさせたい場合はリギングが欠かせません。表情の変化や服などの布がひらひらする表現、プロダクトのCGに動きをつけたい場合でも同様です。設定するときは、不自然な動きにならないようにスケルトンの微細な調整もします。
リギング工程では、スキニングという作業も行います。スキニングとは、ボーンと3Dモデルを関連付ける作業で、モデルの表面(厳密にはポリゴンの点)がボーンにどう追従するかの設定をします。3Dモデルの表面をなめらかに動かすのに必要な作業となります。
注意点として、CG制作会社によっては、リギングにスキニング作業が含まれない場合があります。依頼時はどこまで作業するのかの確認を取りましょう。
モデリングと同様にリギング工程でも複雑で細かい作業が求められるため、時間と費用がかかることがあります。
作成した3Dモデルの色は、何もしなければ灰色か白色です。例えるなら無着色の粘土細工のような見た目です。
3Dモデルの見た目に色や質感を付けてリアリティを出すには、テクスチャリングの工程が必要です。また、3Dモデルに光を当てて陰影を表現するライティングも演出に関係する設定です。目的のCGに近づけるために欠かせません。
テクスチャリングでは、3Dモデルの色・模様はテクスチャ設定で、素材が持つ質感や反射・ツヤ・透明度などの表現はマテリアルの設定で作り出していきます。特に金属素材の表現は、光が当たったときの屈折がどうなるかも含めての作り込みが必要です。
見た目のリアル感・実写感を重視する場合は、相応の細かい作業が必要なので費用も上がります。リアル感をそれほど重視しないのであれば、料金を抑えられます。
アニメーション設定では、3Dモデルに動きを付けます。前段階で行うリギング工程は3Dモデルに骨を埋め込むだけで、アニメーション設定の下準備のような位置づけです。
設定方法は、動画を構成するフレーム単位で3Dモデルのポーズを登録してアニメーションを制作します。CGソフトウェアの物理演算機能を使い、3Dモデルの動きをある程度自動でつけることも可能です。もちろん手作業で微調整をする必要はあります。
アニメーション設定の難しい点は、単純に前のシーンとの差分になる動きを登録していくだけでは、自然なシーンとして成立しないことです。
例えば、重力や慣性などを考慮しないでアニメーションを作ると、動きは合っていても見え方に違和感が残ります。人間の3Dモデルをリアルに動かしたい場合で言えば、ロボットのようなぎこちない動きではなく、重心や仕草、体全体がどう連動するのかなどを考慮して、人らしく見えるように作る必要があります。実際にどの程度アニメーションを作り込むかは、CG表現に要求するクオリティ次第です。
レンダリングとは、作成した3Dデータを2Dの動画や静止画のデータ形式に変換することです。CGソフトウェアとPCのマシンパワーを使った作業のため人間が行う作業はあまりありません。
レンダリング作業は負荷が高く、PCはフルパワーで稼働します。そのため、PCの性能は通常より高いものが必要です。性能不足のPCでレンダリングすると、かなりの時間がかかるため実用的ではありません。出力したいCGによっては、PCを複数台使用することもあります。3DCGを扱う制作会社では、レンダリングファームという専用の設備を整えているぐらいです。
レンダリングの費用は、通常、PCの利用時間やカット数に応じた料金がかかります。また、納期に関係する点として、レンダリングには少なくとも数時間、高度なCGなら1日はかかる可能性がある点は知っておきましょう。特によく作り込まれた3Dモデルや光の屈折・反射が多いシーンの場合、1フレーム出力するだけでも30分~などかなりの時間を要します。
状況説明用途など簡易的なグラフィックで十分な場合は、簡易のレンダリング方式を選択することで時間と費用を多少抑えられます。
レンダリング後にはレタッチ工程があります。レタッチは、出力したCGの動画・静止画を加工・修正する作業です。例えば、質感・光沢・空気感・物体の輪郭などの調整、合成加工、影の追加、CGシーンと静止画シーンを組み合わせる編集などです。
CGの工程を含む仕上げ作業全般のことをレタッチと呼ぶこともあります。完成度を高めるための重要な工程で、CGを活用する本来の目的が達成できるように調整する意味もあります。
レンダリングでは作成した個別の3Dモデルをレイヤー層ごとに分けた上で出力するのが一般的です。分けたものは、あとからレタッチ工程で合成して、ひとつの画や映像として成立させます。そのため、レタッチなしのレンダリングだけでは、CGのクオリティが十分でないことがほとんどです。
CGの制作費用を抑えるポイントを解説します。CG制作は作業に膨大な手間がかかるため、通常の動画制作よりも費用が高額になりがちです。
業者に依頼する前の段階から完成イメージを固めておきましょう。
CG制作の途中に方向転換したり、完成後に修正点が発生したりした場合、修正費用・追加費用がかかる場合があります。修正をするにも、クリエイターの人件費と制作期間が必要だからです。
あとで大きな変更をしなくて済むように、最初にどういうCG動画が必要なのか、細かくイメージを固めておくことが大事です。
依頼するときに行う業者との打ち合わせも重要です。どんな内容や演出が必要なのか、雰囲気や細部のイメージはどうなのか、制作の動機、用途や目的、ターゲット、込めたいメーセージなどを明確に伝えることで業者もイメージに近いCGに仕上げやすくなります。
制作依頼後も、完成までに試写を見る機会があります。この段階で要望通りに作られているかきちんと確認し、イメージと違う部分があれば修正を依頼しましょう 。試写後に修正点があっても大きな変更はできません。
CG制作の相場は業界内で大体決まっていますが、料金体系の細かい部分は会社ごとに異なります。そのため、複数社から見積もりを取り、予算と作業内容が合いそうな制作会社に依頼するのがお奨めです。見積もりの内訳が細かく書かれている会社は、明朗会計で安心感があります。
品質を求めるなら、それなりの制作期間・機材・編集工程が必要になるため、費用も高くなる傾向があります。料金だけで判断すると、CGの質が犠牲になる場合があります。業者の体制や使っている機材・制作実績・依頼したい分野のノウハウや目的を達成できる企画力・構成力の有無なども確認して依頼しましょう。
実際の料金に近い見積もりを出してもらえるよう、どういうCGが必要なのか、できるだけ細かく伝えるようにしましょう。
制作コストを抑えつつ、質のよいCG動画を制作してもらいたい場合は、スケジュールに余裕を持って依頼することが大事です。
細かい作業工程があるCG制作では、通常の動画よりも制作期間が長くなります。制作期間はCG動画の内容や作業工程の手間などによって変動するため、これといった目安もありません。特に品質にこだわりたい場合や動画の時間が長めの場合は、数ヶ月かかることも想定して計画を立てましょう。
短納期の制作依頼は特急料金がかかるため、相場よりも高くなります。急いで制作するため、CGの質を十分に確保できず、妥協が必要な部分が出てくる可能性もあります。低コストで依頼したい場合は、やはりスケジュールの余裕がポイントです。
以上がCG制作の用途ごとの相場、制作工程の事情、制作費用を抑える方法です。CG制作を依頼する際の参考材料としてお役立てください。
CG制作の相場は1分の動画で大体100~140万円という目安があります。費用は作業時間と工数により変わります。CGの用途によって制作工程も変わるので、費用も一律ではありません。料金体系も会社によって異なるため、依頼時は複数社に見積もりを取ってよく検討することが大事です。
費用を抑えたい場合は、スケジュールに余裕を持って依頼しましょう。短納期になると特急料金が加算されるため、相場より費用が高くなることがあります。また、修正にも料金がかかるため修正点が少なくて済むよう依頼時に完成形を明確にしておくことをお奨めします。
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