CG・3DCG の制作を外注するときには、制作の目的を明確にしたうえで依頼する必要があります。依頼先はどのような点に着目して選べばよいのでしょうか。この記事では、 CG・3DCG 制作を依頼する目的や流れ、会社を選ぶポイントなどを解説します。
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近年のテレビ番組や映像作品では、CG・3DCG を用いた映像が多く見られます。CG制作は、外部の制作会社へ依頼するケースが一般的です。CG制作を依頼する主な目的は三つです。
3DCG(3次元コンピューターグラフィックス| Three Dimensional Computer Graphics)を用いると、実際には撮影が難しいシーンでもリアルな映像を作れます。現存しない世界やカメラでの撮影が難しい映像、抽象的な概念の映像化など、非現実的な場面を映像化したいケースでは、 CG・3DCG がよく活用されます。架空の世界を映像化することもでき、架空ではありながらもリアリティのあるより説得力の高い映像を作れます。
実写による撮影が可能であったとしても、費用や工数を抑えるためにCGで映像化するケースも増えています。CGはコンピューターを使って制作するため、実写のようにカメラで撮影する作業は不要です。実写による撮影では、撮影許可を取ったり、安全対策を施したりといった手続きはもちろんのこと、撮影場所に移動するための時間や費用、場所を使用するためにかかる費用などが必要ですがCG制作ではこれらの手続きが必要なく、費用を抑えられます。
例えば、爆破シーンの撮影が必要な場合、実際の建物を爆破するには廃屋などの爆破許可を取ったり、精巧なセットを組んだりするところからはじめなければならず多額の費用がかかります。しかし、CGを作成すればリアルな爆破シーンを再現できるでしょう。
CGを活用すれば、制作側では伝えたい対象だけを映像化でき、視聴者は制作者の意図を直感的に理解できます。さらに、余計な情報を排除することで視聴者が望む情報だけをダイレクトに伝えられます。視聴者にとって見やすい映像に仕上げられる点がCGの大きなメリットです。実写による撮影では、撮影対象以外のものが映り込んでしまい映像で何を伝えたいのかがわかりにくくなってしまうことがあります。
CG・3DCG の制作は専門性が高く、映像化による高い効果を得るために、制作会社に依頼するケースが多くなります。依頼から納品までの流れを解説します。
最初に、制作を依頼したい会社を複数ピックアップし、見積もりを依頼したり、依頼内容に関して問い合わせを行ったりします。制作会社の担当者とスムーズに意思疎通を行い、イメージ通りのCGを制作してもらうには、この段階で以下の内容を伝えておくことが重要です。
・制作内容
・予算
・納期
・CGの規格(作業環境、解像度、色空間、フレームレート、納品フォーマットなど)
依頼内容をもとに依頼側と制作会社とで打ち合わせを行います。写真やモデルのデータ、サンプルなどがあればこの段階で制作会社に提出しておきます。案件の内容によって、一度の打ち合わせで十分なのか複数回の打ち合わせが必要なのかを確認しておくことも重要です。
打ち合わせの場では、ヒアリングシートを使うと効率よく話し合いを進められます。見積もりの依頼や問い合わせの段階で制作会社側から聞き出した内容をヒアリングシートにまとめておき、不足している点や不明な点があれば打ち合わせの段階でクリアにしておきます。
打ち合わせの内容をもとに、制作会社側が見積もりを作成します。見積金額や納期など、すべての依頼内容・条件に双方が合意すれば正式契約へと進みます。
正式に契約を締結したら、制作会社ではモデリングやレンダリングなどの作業を進め、CGを制作していきます。制作工程は、後述する「CG・3DCG 制作の工程」で解説します。
CG・3DCG が完成したら、制作会社は依頼者に簡易レンダリングした結果を提示し、内容を確認してもらいます。修正や追加があれば、その都度調整する必要があります。レタッチなどの調整や修正が終われば、完成したCGデータが納品されます。
CG制作における納期は、依頼する内容やボリューム、依頼側が求める品質などによって大きく異なります。依頼から納品までの期間は1週間から1ヵ月半程度が目安です。依頼側がCADデータをすでに持っている場合には、納期を短縮できることもあります。実際の納期は、打ち合わせや見積もりの段階で確認する必要があります。
ヒアリングや打ち合わせの段階でターゲットや目的が明確になっていないと、修正回数がかさみ納期が遅れてしまうことになりかねません。納期の遅延を発生させないためには、できるだけ早い段階でCGのイメージや目的、ターゲットを決めておくことが大切です。
CG・3DCG の制作依頼をスムーズに行い、失敗せずに理想の作品を制作してもらうためのポイントを解説します。
これから作成を依頼するCGをどのような場面や媒体で使いたいのか、視聴者に何を伝えたいのかなどCGの作成目的を明確にすることが重要です。目的によってはCGの作成方法や制作される映像のイメージが大きく変わる可能性もあります。
打ち合わせの段階で、希望費用を提示しておくことが重要です。CG制作の予算はいくらなのか、
費用感ごとの品質を確認するためできる限り詳細に打ち合わせます。それによって、制作会社側から適切な提案が受けられる可能性が高まります。
納期を明確にしておくことも重要です。制作期間が短い場合には、追加料金がかかる場合もあります。また、できあがった映像が依頼側の希望する仕上がりにならない恐れもあります。そのため、納期を決めるときには、修正が発生する場合も考慮して設定しましょう。同時に制作スケジュールも確認し、無理のないスケジュールで作業を進めてもらうことが大切です。
CG・3DCG 制作を依頼する外注先会社を選ぶ際には、以下の点を押さえておきましょう。
自社の希望に合うCGを制作してもらうには、各制作会社の得意分野や技術、これまでに手掛けてきた実績などをホームページや最新のポートフォリオなどで確認する必要があります。
制作側と依頼側とでCGに対して抱いているイメージが食い違うと、希望する内容のCGができあがらない恐れがあります。特に、ビジュアルデザインや絵コンテなどが決まったあとで食い違いに気が付いても、大きな修正や変更は困難です。
互いのイメージをすり合わせるには、頻繁なコミュニケーションが欠かせません。問い合わせの段階で、制作側とスムーズにコミュニケーションが取れるかどうかも確認しておきます。
ここからは、 CG・3DCG の制作にはどのような工程があるのかを解説します。
情報設計(Information Architecture)は、数ある情報の中から必要な情報を取り出して整理し、わかりやすく構成し直して組み立てる工程です。 CG・3DCG の制作においては、ヒアリングでどのようなコンテンツを制作すればよいのかを明らかにし、CGの骨組みとなるワイヤーフレームを作ることがこの段階に該当します。
ワイヤーフレームの作成では、まず現状の課題を見つけるために、制作会社が依頼者にヒアリングを行うことからはじめます。その後、課題を分析し、目標を達成するために戦略を立てていきます。
ワイヤーフレームができたら、映像の大まかな流れを絵コンテで作成し、それを基にモデリングを行います。モデリングとは、図面を平面(2次元)から立体(3次元)へと描き換える作業のことです。一般的にオペレーターが手動で作業を行うことが多いため、最も時間がかかる工程です。モデリングは制作会社の技術が問われる工程でもあります。
CG・3DCG作成の場合は、モデリングの作業に加えアニメーションの設定も行います。
3Dへのモデリングを行ったのち、アニメーションをつけレンダリングを行います。レンダリングとは、データを動画ファイルに書き出す作業のことです。まず低解像度で簡易レンダリングを行い、依頼者の確認を経たうえで解像度を上げて最終的なレンダリングを行います。
レンダリングは、パソコンのソフトウェアが作業してくれるため人間が作業を行うことはほぼありません。かなりの負荷がかかるので高スペックのパソコンを複数台使うケースも多く、制作者にどのようなスペックのマシンが揃っているのかで制作時間に大きな差が出ます。
レンダリングが終わった動画ファイルは、光の加減や質感などの点で完成しているとはいえず、映像としては十分ではないこともあります。これらを調整するためにレタッチを行います。
レタッチでは、光や質感を調整するほかにも、複数の画像を合成したり、背景や影を加えたり、輪郭を調整したりといったことを行います。レタッチを行うことで映像にさらなるリアリティを与えられます。
CG・3DCG の制作を依頼するときには、依頼する目的を明確にしておくことが重要です。そのうえで、作品のコンセプトを理解してもらえる制作会社を選びましょう。イメージ通りの作品に仕上がるよう制作会社と密にコミュニケーションを取りながら、目的や費用、納期を共有・合意して作業を進めるようにしましょう。
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