Webサイトやロゴ、ポスターやカタログなどのデザインを初めて制作する場合は、専用のテンプレートで自作するより、プロに依頼する方がおすすめです。本記事では、デザイン制作を依頼する方法やメリット、注意すべき点、費用の相場を詳しく解説します。これらを参考にして、目的や理想に沿ったデザインを目指しましょう。
この資料にはデザインをコミュニケーションツール化させるポイントが記載されています。
昨今のデザイン系ソフトウェアの発達により、テンプレートを利用すれば、専門外の人でもある程度、見栄えがよいものを制作できるようになってきました。しかし、それでもプロにデザインを依頼することの利点は、未だに大きいです。ユーザーの目に直接入る、広告や企業のロゴ、販促物、Webサイトなどのクオリティは、第一印象のよさに直結する、とても大切な要素です。進行管理やサポートの面においても、デザイン制作に慣れているプロへの依頼は、スムーズな制作の助けになるでしょう。また、デザインのプロを社内で用意するよりも、制作物ごとにその都度、外部に依頼することで社内の人件費を抑制することができます。
外部にデザインを依頼するには、大きく分けて、以下の3つの方法が考えられます。
・専業のデザイン会社に依頼する
・人材紹介サービスや個人に依頼する
・クラウドソーシングでフリーランスなどに依頼する
それぞれの特徴やメリット・デメリットを簡単に紹介していきます。
ビジネスでの利用に最もおすすめの方法が、デザインを専門とする会社への依頼です。デザイン会社は、クライアントからの依頼をもとにしたデザイン制作に慣れているため、要件出しの進行やスケジュール管理など、専門の担当者がいないと進められない困難な部分を任せられます。依頼時に発生した不明点のチェックや意見の吸い上げ、制作のサポートも、熟練している専門会社なら、上手に進めてもらえる場合が多いです。しかしその分、後述する他の方法に比べ、やや費用が高くなる傾向があります。
一口にデザインといっても、「Web制作に強い」「印刷物に特化している」など、会社によって得意分野が異なります。デザイン会社の対応分野が依頼したいものに適しているかどうかは、事前の検討段階でチェックしておきましょう。
人脈の利用、つまり知り合いのデザイナーへの依頼も手段のひとつです。気軽なやりとりが可能なため、理想やイメージに合ったものを制作しやすい傾向があります。知り合いにデザイナーがいない場合は、個人への依頼を代行するエージェントなどの紹介サービスの利用が便利です。ただし、知り合いに依頼した場合は、心情的に細かい修正を依頼しづらくなる可能性も考えられます。
コロナ禍における昨今では、クラウドソーシングサービスで、外部に委託する方法もおすすめです。クラウドソーシングのサービスを利用すれば、リモートで比較的、手軽でスピーディーに依頼できます。しかし、個人のデザイナーが制作するため、品質にばらつきが出やすい点がマイナス要素です。デザイナーが依頼したい分野のスキルを持っているか、求めている品質を満たしているのかなどは、ポートフォリオをチェックして慎重に検討しましょう。
依頼先を決めた後は、依頼の要件をまとめた上での打診が必要です。その際に、注意すべき点や用意した方がよいことがいくつかあります。トラブルを未然に防ぎ、スムーズに進行するために、以下の項目を把握しておくことをおすすめします。
まずは、デザインの方向性や要件を具体的にまとめましょう。目的や想定するターゲット、完成イメージなどが具体的であればあるほど、納品されるデザインがイメージに近づきやすくなります。曖昧な状態のままだと、問い合わせやチェックの工程が余計に増加したり、修正や差し戻しが発生したりするなど、デザイナーが作業しづらくなってしまうかもしれません。イメージの提示が細かすぎて困ることはあまりないので、できる限り具体的で詳細なイメージを共有するように心がけましょう。どのような雰囲気を求めているのか、既存のものから色味や形などイメージに近いものを参考素材として提示することも、非常に効果的です。
例えば、「かっこいい」雰囲気を求めている場合、その「かっこいい」のニュアンスまで伝えるとよいです。カラーが多めの賑やかなかっこよさなのか、モノトーン調のクールなかっこよさなのかなど、同じ「かっこいい」でも方向性は異なります。共有するイメージが具体的になれば、デザイナーからの提案も求めているものに近づくでしょう。また、作業しづらいということもなくなるため、納品の遅延や停滞の心配も不要です。デザイナーに打診し、打ち合わせを行うまでにイメージを固めて、方向性を明示できるように準備しておきます。
デザインの発注にあたって、スケジュールに余裕を持っておくことも欠かせません。デザインの完成までに要する工程は多く、想定よりも時間がかかってしまうことが多いです。ほとんどの場合では、完成イメージを表したラフを、依頼者側がチェックしてレスポンスする工程が含まれます。そのチェック期間も考慮した方が、その後も慌てずに済みます。また、修正や差し戻しが発生した場合の猶予も、あらかじめ見込んでおきましょう。
加えて、最終的な納品日だけではなく、「いつまでに要件出しを完了させるか」「いつまでにラフを受け取るのか」など、工程ごとにスケジュールを設定しておくと、相互ともに進捗状況をチェックしやすくなり、遅延や停滞の防止に有効です。制作に必要な期間は、依頼物やデザイナーごとに異なるので、依頼時に必ずチェックしてすり合わせましょう。
最後に重要なのは、契約書を締結してから、作業を開始してもらうことです。作業を開始してから後付けで要件を決めることは、「作業工程が契約内容の範囲を超えた」「著作権や報酬の認識が異なった」などのトラブルを引き起こす要因になります。また、契約書には以下の項目を必ず設定し、相互ともにチェックしましょう。
【納期】
完成品をいつまでに受領するのかを設定し、書面に残しておくことで、行き違いを防止します。
【利用範囲・利用目的】
「制作物本体のみに利用するのか」「宣伝・広告も含めて利用するのか」など、制作物の利用する範囲や目的について認識をすり合わせます。
【修正回数】
事前にイメージをすり合わせたとしても、どうしても修正は発生してしまうものです。しかし、修正にもデザイナーの工数はかかるため、あらかじめ修正回数の上限を決めておいた方が、修正時のやりとりがスムーズです。
【知的財産権の譲渡について】
制作物の権利についても、契約書に明記します。「権利を譲渡するのか」「使用許可を借りるのか」などもデザイナーと相談して、認識をすり合わせます。
【報酬・二次利用時の使用料の有無と金額】
報酬の明記は言うまでもなく大切ですが、制作物を再び利用する場合などに、「追加で使用料が発生するのか」「発生するなら金額はいくらなのか」を取り決めます。後になってから相談するよりも無難です。
デザインを依頼するにあたって、避けるべきこともいくつかあります。クオリティに悪い影響を及ぼしたり、納品が遅れたり、取引自体に支障を来したりするなどの、トラブルを引き起こす要因を以下に挙げます。
制作を開始した後の、方向性や要件の大幅な変更は避けましょう。極端な例を挙げるなら、ターゲットを「10代女性」で依頼していたものを、「30代男性」に変更するケースです。この場合は、テーマやニュアンス、イメージが大きく変わってしまい、作り直しも同然です。制作途中での変更は、作業の工数が増加するなど、デザイナーの負担が非常に大きくなり、場合によっては追加料金の発生や納品の遅延を引き起こす要因になり得ます。前述したように、依頼前にあらかじめ要件を具体化することで、大幅な変更は避けられるため、イメージを固めて、綿密な打ち合わせを行った上で依頼しましょう。
要件を具体化しないまま、デザイナーにすべてお任せする、いわゆる丸投げは避けるべきです。デザイナーのセンスに頼りたい人はいるかもしれないですが、できる限りイメージを提示しましょう。依頼者が思うイメージと、デザイナーが思うイメージが、完全に一致していることは少ないため、デザイナーのセンスに任せて進行した場合、結果的に修正や作り直しが発生してしまう可能性が高くなります。こちらもデザイナーに余計な負担がかかり、最悪の場合、追加料金の発生や納品の遅延も十分考えられます。事前に、依頼者側のイメージとすり合わせて、共通の認識を持てるように、努力することが欠かせません。
前述した通り、方向性とイメージの共有は重要ですが、これは修正依頼の際にも当てはまります。もし、制作物がイメージから外れていた場合、どこをどのように修正したいかを伝えることが必要です。例えば、希望の色や形、イメージに近い画像などを提示して、「このニュアンスに寄せてほしい」と、詳細に伝えましょう。目指すイメージが伝わっていないままでは、修正を依頼しても、イメージ通りにならない場合が多く見受けられます。また、NG例の提示も有効なので、活用してみてもよいかもしれません。
余裕を持ったスケジュール設定が必要であると説明しましたが、反対に言えば、短すぎる納期を設定した依頼も避けるべきです。デザイン制作は作業を始める前にも、イメージや他の製品、制作物が利用されるシチュエーションなどを調査する準備工程が含まれます。設定したスケジュールがあまりにも短いと、デザイナーに負担がかかり、クオリティに影響を及ぼしてしまうおそれがあります。納期に関するトラブルを起こさないためにも、余裕を持って準備しておきましょう。
デザイン制作を依頼するにあたり、費用感は最も気になる部分ですが、カテゴリーごとに相場は異なります。なお、以下より提示する相場は、あくまで目安です。依頼内容やデザイナーによって、金額は前後することを踏まえた上でチェックしましょう。
Webサイトのデザインは、企業規模や制作するサイトの大きさ、ページ数によって異なります。コーポレートサイトの場合、10ページくらいの小規模で約40万円以上が相場です。より複雑な機能を備えたり、ページ数が増えたりするなど、規模が大きくなれば、比例して費用も高くなります。
ロゴ単品を依頼する場合の相場は、約5〜30万円です。ロゴと一口に言っても、利用する場面ごとの差分の有無やリサイズの量など、デザイン制作にかかる工数によって、料金はさらに変動します。
ポスターのデザインは約5~25万円、名刺などの小さいサイズのものは約1万円以上が相場です。カタログやパンフレットのデザインは、ページ数によって費用が変動するため、個別に見積もりを取ります。ちなみに、上記は印刷費を含めずに想定した金額です。デザイナーによっては、印刷費込みの価格を提示している場合もあるので、不明な場合は問い合わせてみましょう。
ビジネスで利用するデザインには、高いクオリティが求められます。自社にデザインの経験者が在籍していない場合でも、スムーズな進行のためのサポートを受けられる、デザイン会社への依頼が一番無難な選択でしょう。数あるデザイン制作会社の中でも、「日本テレビアート」の利用がおすすめです。
ポスターやロゴ、パッケージデザインなど、さまざまな分野のデザイン制作の依頼が可能な会社です。豊富な実績があり、幅広い分野において、クオリティが高いデザインを提供しています。また、コンセプトワークの段階から相談できるので、思い通りのデザインを総合的に作り上げることが可能です。空間デザインも得意分野のひとつであるため、イベント展示や講演会などの、大規模なデザインにもぴったりです。
理想のデザインを制作するには、依頼者とデザイナーが協力し合い、イメージを共有することが重要です。デザイン制作を外部のプロに依頼する際は、依頼前に要件を具体化し、できる限り詳細な完成イメージを伝えましょう。また、余裕を持ったスケジュールを確保した上で、事前に契約書を取り交わし、方向性や要件を固めることにより、トラブルの発生を防げます。見た人を惹きつけるデザインを制作してもらうためにも、無理難題を押し付けず、お互いが納得できる範囲内の進行が望ましいです。
デザインをコミュニケーションツール化させるポイントが記載されています。