Web制作の見積書にある項目を見て、何をする作業なのか、本当に必要なのかわからないことがあります。適正な価格で依頼するためにも、記載項目の理解を深めることは重要です。本記事ではWeb制作の見積書にある項目の見方や費用の目安、制作の依頼方法などを解説します。
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Web制作(ホームページ制作)の見積りを依頼する際は事前準備が欠かせません。依頼するまでのおおまかな流れは以下の通りです。
1.準備
2.面談
3.見積もりと提案の検討
4.制作会社に依頼
外注することが社内で決まってからいきなり発注すると失敗します。事前準備として社内でWebサイト作成の目的や納期、予算を決めて、RFP(提案依頼書)を作成しましょう。
RFPとは、自社の要望をまとめた文書のことです。RFPには以下のような内容を記載します。
・プロジェクト概要
・会社や事業の概要
・作成時の要望や仕様
・解決したい課題や達成したい目標
・予算
・ターゲット
・理想の完成イメージ
・提案してほしいこと
・法務要件
・補足事項
すべて書く必要はありませんが、できれば作業範囲やデザインのイメージ、ページの作成数など、細部まで具体的に記載するほうが望ましいです。
RFPを作るメリットは、制作会社に要望を漏れなく伝えられる点や最適な提案を受けやすくなる点、高品質かつ適切なコストでの発注につながる点です。クライアントのニーズが明確なほうが、制作会社も正確な見積もりを出しやすくなります。相見積もりの効率化にもつながるため、RFPは作成するのがお奨めです。
見積書の項目は、専門外の人がただ見ただけでは何のことかわかりづらいことがあります。そのため以下では見積書によくある項目について詳しく解説します。項目をよく理解することで、予算を多く割くべき部分とそうでない部分が明確になります。
進行管理費とは、制作プロジェクト全体の工程を管理する費用またはWebディレクターの人件費のことです。ディレクション費やプロジェクト進行費と記載されている場合もあります。関係者の指揮や制作品質の維持、制作スケジュールの円滑化などのために必要な費用です。
進行管理費に含まれる主な作業を挙げると、クライアントへのヒアリング、要件定義、データ分析、スケジュール管理、ミーテングや資料作成、品質チェックなどがあります。
進行管理費はWebサイト制作費用全体の20%前後が目安で、案件の規模や作業量、難易度によって変動します。安易に値下げ交渉するとディレクターが関わる時間の減少や制作品質に悪影響を与える可能性があるため、節約するのは避けたほうが無難です。
企画費とは、Webサイト制作の方向性やどう運用するかを決めるためにかかる費用のことです。クライアントと話し合いながら、作成するWebサイトの目的やコンセプト、目標、ターゲット、掲載するコンテンツの主な内容、収益方法などを明確化します。プランニング費など異なる名称で記載されることもあります。
例えば、以下のような企画内容を決めるために企画費が必要です。
制作テーマ:フードサービス
制作目的:自社サービスの認知度を拡大する
KPI:月間アクセス数○○以上、サービス申し込み数○○件
ターゲット:20代~30代の会社員
コンセプト:時間が少ない中でも必要な栄養が取れる食品を手軽に美味しく提供する
競合調査の内容:競合となるフードサービスの数や自社の強み、差別化ポイント
企画費として何の項目が見積書に記載されるかは制作会社によって異なります。多くの場合、KPI策定に関する費用や現状分析費、競合調査費などが記載されます。企画費の目安は15万~20万円前後ですが、制作規模や工数によって金額は変動します。
サイト設計とは、Webサイト全体の設計をしたり、画面構成を決めたりすることです。設計図にあたるワイヤーフレームや階層構造を明確化するサイトマップ、ディレクトリマップを作成するためにサイト設計費がかかります。制作会社によっては進行管理費として計上されますが、多くの場合は分けて記載されます。
サイト設計ではWebサイトの作成方法も決定します。一般的にはCMSで作成することがほとんどです。CMSとは、ページの作成や編集などのWebサイト運用に必要な機能がパッケージ化されたシステムのことです。本来はWebサイトを作るにはHTMLなどの専門知識が必要ですが、CMSを使うと知識なしでも簡単な操作でWebサイトの更新ができます。
費用の目安は15万~20万円程度ですが、制作規模によって変動するため一概にはいえません。大規模になるほど高額になります。クライアント側で設計部分を準備する場合は0円です。
SEO対策とは、Webサイトを検索エンジン向けに最適化することです。SEO対策を施すことで、検索結果の上位表示や検索流入の増加などの効果が見込めます。制作会社が主にするのは、Webサイトの内部構造を整える内部対策やコンテンツ対策です。
検索結果にWebサイトを表示するには、検索エンジンが読み取りやすいように内部構造を事前に整えておく必要があります。また、検索から集客する場合、検索ユーザーのニーズに合うコンテンツがなければWebサイトを作っても意味がありません。そのため、制作段階でSEO対策をしておくことは重要です。
SEO対策をするには専門知識が必要なため、精通した制作会社に発注しましょう。費用の目安は5万~10万円以上です。制作規模や狙うキーワードによって大きく変動します。
デザイン費とは、サイトの外観を決めるWebデザインの費用のことです。レイアウトの決定や画像作成などをするために必要になります。ロゴやイラスト、バナーなどの制作も含みます。
見積もり方法は制作会社によって異なり、ページ単位か工数(人日単位)のどちらかで算出されます。ページ単位の場合はページの種類ごとに料金が記載されて、ページの重要度によって料金が変わるのが一般的です。特に下層ページよりも、顔になるトップページのほうが高くなります。人日単位の場合、担当者の人件費と作業日数で金額が決まります。
相場は一概にいえませんが、下層ページは3万円前後、トップページは5万~15万円以上、ランディングページは10万円以上です。オリジナルデザインにすると相場より高くなる可能性があります。CMSの既存テンプレートを使うと低コストです。
ほとんどの場合、Webサイトのデザインに画像を使用します。制作会社に用意してもらう場合は素材や撮影の費用がかかります。制作会社が代わりにカメラマンに依頼するか、社内制作するのが一般的です。
カメラマンが撮影する場合は5万~10万円以上が相場です。撮影期間の長さや出張費、モデル派遣やスタジオの用意など大掛かりになるほど費用は上がっていきます。素材を購入する場合だと、費用は数千円程度です。また、クライアント側で素材を準備するか、フリー素材を使用する場合は費用がかかりません。
コーディングとは、プログラミング言語を記述することです。Web制作においてはHTMLやCSS、JavaScriptなどの言語を記述することを指します。Webサイトを表示するには、構成や表示の仕方についての指示をコンピューターが理解できる言語で書く必要があります。そのため、コーディング費は狙い通りにWebサイトを表示するために必要な費用です。Webサイトのスマートフォン対応、レスポンシブデザイン対応もコーディングによって実現します。
費用の算出はページ単位か工数(人日単位)のどちらかが一般的です。1ページあたりの相場を挙げると、トップページは5万円前後、下層ページが3万円前後、CSS設計が5万円程度です。あくまで目安であり、コーディングの複雑さに応じて高くなります。例えば、レスポンシブデザインやスマートフォン対応は追加料金が発生する場合があります。
環境構築費とは、Webサイトの表示に必要なシステム設定などにかかる費用のことです。主にコーディング以外のシステム開発に関する作業費用が含まれます。例えば、サーバーやドメインのセットアップ、CMSの導入、SSL設定などです。お問い合わせ機能などの機能開発費も含むことがあります。
CMSはWordPressなどのオープンソース型の場合、低コストで導入できます。商用パッケージ型やフルスクラッチ型の場合はコストが高くなり、導入までの期間も長い傾向にあります。
クライアント側でサーバーやドメインの設定をする場合、費用は不要です。見積書の項目は作業単位での記載が多く、費用は作業量によって変動します。構築作業全体で20万円以上が目安です。
Webサイト完成後の運用段階に入ったときのサポートやメンテナンスに関する費用です。内容は制作会社によって様々なため、見積もりを取って何の項目があるのか確認しましょう。
よくある項目を挙げると、バグ対応や障害対応、CMSのバージョンアップ、セキュリティ対策、ページの更新・追加・削除作業、アクセス解析とレポート、コンサルティングなどがあります。
費用は月額料金制のことが多く、依頼する作業量に応じて金額が変動します。費用の目安は5,000円~5万円以上です。クライアントによって必要な運用・保守の作業が異なるため、事前にどの作業を制作会社に依頼すべきなのか絞っておくことが重要です。自社でどれも対応できる場合、サーバーとドメインの維持費以外は不要となります。
見積もりを取る際に特に注意すべきポイントを以下で解説します。費用の算出方法と制作会社からもらえる提案書の中身はよく確認しましょう。
制作会社によって見積もり費用の算出方法が異なるため、同じ工程でも金額に違いがでます。主な算出方法は作業単位とページ単位、工数(人日)単位の3種類です。
作業単位とは、作成するページの作業内容で算出する方法です。作業項目ごとの費用が記載されており、正確な見積もりを把握しやすい点がメリットです。作業ごとに料金を計上するため、コンテンツのボリュームが多くて凝ったデザインにするほど費用は高くなります。途中で仕様変更すると再見積もりになる点がデメリットです。
ページ単位とは、作業量やページの種類に関係なく、作成ページ数と1ページあたりの単価で算出する方法です。主にデザインとコーディングの費用がページ単価となります。低コスト・短納期で依頼しやすい一方で、仕様変更に対応できない場合があります。
工数(人日)単位とは、関係者の人件費と作業日数で費用を算出する方法です。リソースベースの見積もり金額のため仕様変更に対応しやすいメリットがあります。ただし、作業内容や各作業にかかる費用が不透明というデメリットがあるため、提示された見積もりが適正価格かどうかの判断が必要です。
見積書と一緒に提案書も作成してもらうメリットは、見積書には記載されない作業や情報を補完できる点にあります。見積書の項目を見れば作業内容を把握できますが、その作業をどういう意図でするのかまではわかりません。
そこで、提案書を見ることで、制作会社とWebサイト作成の目的やイメージが共有できているのか、要件に合った提案なのか、どのように自社の課題解決をするつもりなのかの確認が可能です。また、もらった提案書を見ると認識のズレの有無を確認できるため、トラブル防止にもつながります。
見積書だけでなく、提案書の内容の両方を見て総合的に判断したほうが、満足度の高いWebサイトを作成してもらえる可能性が高くなります。
以上がWebサイト制作の依頼方法や見積書の見方、注意点などです。Webサイト制作を成功させるにはRFPの準備や見積書の見極め、提案書の確認が重要なポイントとなります。依頼の際には、ぜひ本記事をご参考ください。
Webサイト制作を依頼する際は、イメージ通りのWebサイトを作成するためにもRFPの準備やもらった提案書の確認が大切です。また、見積もり費用の算出方法は複数あるため、金額の違いに注意しましょう。
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