ユーザーに強く訴求するには、優れたデザインによって視覚効果を高めることが非常に重要です。そこで本記事では、レイアウトの原則や色の基礎など、Webデザインなどですぐに活用できる基本知識を解説します。デザインの知識やコツを学ぶための入門的なガイドとしてぜひご覧ください。
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コンテンツの見やすさやインパクトを改善するには、レイアウトの基本原則を心掛けることが重要です。そこでまずは、デザインの基礎としてレイアウトの4原則について解説します。
「近接」とは、内容的に関係性が強い情報を視覚的に近づけて、ひとまとまりに示すべきという原則です。こうすることで、情報を整然とした形でユーザーへ提供できます。
コーヒーの販売サイトを例にしてみます。コーヒーA、コーヒーB、コーヒーC…と、各銘柄の名称と情報が並んで一覧表示されているページがあるとします。
この場合、コーヒーAの画像をコーヒーAに付属する情報としてユーザーに正しく認識してもらうためには、「コーヒーA」という商材名とその画像をなるべく近づけて配置することが重要です。こうすることでユーザーは、「この画像はコーヒーAの画像なんだな」と一目で理解しやすくなります。
また、商材名と説明文はなるべく離し、説明文の行間は短くしてまとまりをもたせるなど、ひとつの要素をできるだけグループ化して見せるということが大事です。
この近接の原則は、各商材の情報を「コーヒー」「紅茶」「緑茶」というように、カテゴリーごとに分ける場合にも有効です。
「整列」とは、各要素の配置やサイズなどに一定の規則性や整合性を持たせることで、レイアウト全体に整った印象を出すための原則です。これが不規則だと、デザイン全体が乱れた印象になり、ユーザーが情報を閲覧する際に疲れやすくなってしまいます。
例えば、コーヒーの各銘柄を一覧表示するページを再び思い浮かべてみましょう。コーヒーA、コーヒーB、コーヒーC…というように各銘柄の画像が並んでいる中、それぞれの画像のサイズが不揃いになっていたとしたら、不整合で乱れた印象を与えてしまいます。これを防ぐためには、画像のサイズや位置を規則的に統一する方法が有効です。
整列の原則はもちろん、テキストのサイズや文字量などにも当てはまります。文字の開始地点や文字量をそろえると、統一感の高い見た目になり、テキストも読みやすくなります。つまり、テキストや画像の端の部分(高さや横幅)などをそろえて、視覚的な調和を保つことが整列の原則です。
反復とは、デザイン内で同じ要素やスタイルを繰り返し用いることで、レイアウトに一貫性を持たせる原則です。整列と同様に、デザインにおいて統一感を出すために重要な要素です。
例えば、「見出し名には特定の大きな文字サイズを使う」「説明文は左寄せにする」といったルールの遵守が挙げられます。文字のフォントの種類を統一することも基本です。
つまり、デザインのフォーマットやルールを設定し、それにあわせてレイアウトを作るべきというのが反復の原則です。
コンテンツに何か追加要素を入れるときも、このフォーマットにあわせやすいもの、既存の要素と色や形、サイズなどが似たものを選ぶことで統一感を出しやすくなります。反復の原則を遵守することで、デザインに一貫性を出し、すっきりした印象を与えられます。
対比とは、各要素に対比(コントラスト)をつけることです。
例えば、商材のキャッチコピーには大きな文字サイズを用い、細かな説明文には相対的に小さな文字サイズを用いることで、売り手側が一番伝えたいメッセージをユーザーに強く訴求できます。もちろん、強調したい部分のみ、文字色を変えたり太字にしたりすることも有効です。
もし、すべての情報を同じ形式、同じ見た目で表示してしまうと、ユーザー目線では全体が平坦に感じられ、何が重要な情報で何がそうでないかが不明瞭になってしまいます。
メリハリのあるデザインは、視覚的にも魅力的であり、ユーザーの注目を集めやすいというメリットもあります。このように、対比の原則はデザイン全体を引き締め、情報伝達の効果を高める重要な要素です。
ただし、あまりに多くの情報を強調しようとしすぎると、対比の意味や効果が薄れてしまうので、何かを強調する際は、情報に優先順位をつけて必要な部分のみに使うようにしましょう。
どのように色を使うかも、ユーザーに与える印象に強く影響する大切な要素です。そこで以下では、デザインに役立つ色の基本知識について解説します。
まず基本となるのが、RGBとCMYKの違いです。この2つは、色を表現するための基本的なカラーモデルです。
RGBは、「加法混色」とも呼ばれる方法で、赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)の3つの基本色を混ぜて色を作り出します。このカラーモデルは主にデジタルディスプレイやテレビなどで使用されています。
他方で、CMYKは「減法混色」とも呼ばれ、シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)に黒(Black)を加えた4色で表現します。色を混ぜるほど暗くなるのが特性です。印刷用のインクではRGBのカラーレンジを完全に再現するのは難しいこともあり、CMYKは主に印刷物で使用されます。
色の選定や調整はデザインの質を大きく左右する要素のひとつです。特にデジタルと印刷の両方でデザインをする場合、RGBとCMYKの違いを理解しているとイメージ通りの色味を出しやすくなります。
色には多くの側面がありますが、基本的には「色相」「明度」「彩度」の三つの属性で説明できます。この世界には多種多様な色がありますが、どの色も三属性の組み合わせによって構成されています。
まず、色相とは、色味や色合い、つまり「何色か」を示す属性です。赤や青、黄など、私たちが普段から使う色の名前は、基本的に色相に関連しています。
他方で明度とは、「色がどれだけ明るいか/暗いか」を示す属性です。明度が高い色は白に近く、明度が低い色は黒に近くなります。明度を変更することで、同じ色相でも印象を大きく変えられます。
彩度は、「色がどれだけ鮮やかであるか」を示します。基本的に高彩度の色は鮮明に写り、低彩度の色はくすんで見える形です。華やかさや颯爽とした印象を与えたい場合は高彩度、渋さや風情などを表現したい場合は低彩度が適しています。
これらの三属性のバランスを調整することで、同じ画像でも印象を自在に変えることが可能です。
例えば、高明度・高彩度の黄色はビビッドでポップなイメージを見る人に与えます。他方で、高明度・低彩度の緑は、侘び寂びを感じさせる抹茶の色合いです。
このように、色の三属性を理解しておくと、色選びの幅が広がり、より効果的なデザインを自在に選択できるようになります。
レイアウトを整える際に、成功の鍵となる5つのポイントを紹介します。これらを押さえておくことで、情報の収容量と視覚的なバランスを最適に保つことが可能です。
人が自然と目を動かす方向を理解することは、効果的なレイアウト設計のために不可欠です。一般的に、人は縦書きの場合は「N型」、横書きの場合は「Z型」の動きに沿って情報を取り込みます。これは、目線が自然と左から右、または上から下へと移動する傾向にあるからです。
例えば、右を向いている人物の写真をレイアウトの右側に配置すると、その人物が見ている方向に目線が流れてしまい、テンポが悪くなります。逆に、重要な情報や目立たせたい要素を左上に持ってくると、その情報に目が自然と向かいやすくなります。
このように、人々の目線の動きを理解し、それに沿ってデザインを配置することで、情報を効果的に伝えられます。
余白は単に「何もないスペース」と誤解されがちですが、実はデザインの非常に重要なポイントです。余白を効果的に使用することで、各要素が持つ情報が際立ち、全体の構成が明確になります。
特に、初心者がデザインを手がける際は、情報を端から端まで詰め込みすぎてしまいがちです。しかし、余白が不足すると情報過多になり、ユーザーは疲れてしまいます。また、余白が少ないと全体的に雑然とした印象になり、重要なポイントもその他の情報の中に埋もれてしまいがちです。
その点、余白を適切に配置することで、視覚的なストレスを減らすと共に、関係性に即して情報にまとまりを作ったり、強調したい情報を目立ちやすくしたりできます。
レイアウト全体のバランスを整えるためには、画面を2分割または3分割して画面構成を考えることが大変有効です。
例えば2分割の場合、レイアウトの左側に画像を、右側にテキストを配置するといった仕方が挙げられます。あるいは、「犬vs猫」といったように対立構造を強調したいときにも2分割は効果的です。この場合、左側に犬、右側に猫の画像や情報を表示し、背景色も左右で変えるなどの工夫をすることで、視覚的にもその対立構造を強調できます。
また、レイアウトを3分割して構成すると、バランスの取れたすっきりした印象をつくることが可能です。例えば、スペースの3分の2を写真で埋め、残りの3分の1にテキストを配置するといった手法はポスターなどでよく見かけます。逆に、タイトルやキャッチコピーなどの強調したいテキストを三分割の真ん中に置き、左右のスペースは背景的に使うといった手法も常套手段です。
このように、画面を分割して考えてみることで、レイアウトのバランスを整えたり、重要な情報を視覚的に強調しやすくしたりできます。
テキストを読みやすくするためには、行間を意識することが重要です。行間が狭すぎると、文字が詰まって読みづらくなります。逆に行間が広すぎるとテキストを読むテンポが途切れてしまい、余計なストレスを感じがちです。
行間は内容、フォント、フォントサイズによって適切なものが異なるため、その都度調整が必要です。特に、長い文章や複雑な内容を扱う場合は、行間を適切に設定することで、読む人がストレスなく内容を理解できるようになります。
また、情報の内容に即してテキストを分割して示すこともポイントです。例えば、何かのメリット・デメリットを記載する際には、メリットとデメリットで段落分けをして改行すると分かりやすくなります。
色には人間に様々な感情や印象を与える心理的効果があります。例えば、赤色は情熱や興奮のイメージを、緑色はリラックスや健康のイメージを喚起するなどです。
そのため、デザインにおいては、自社の商材やメッセージに適した色を選ぶことが重要です。これを意識せず、例えば激辛料理のポスターに青色、ヒーリングマッサージサロンのちらしに赤色を使用すると、そのテーマとデザインがちぐはぐな印象になってしまいます。
どうしてもその色を使う必要がある場合でも、ワンポイントとして入れるに留めるなど、全体のイメージを邪魔しない配慮をしましょう。
レイアウトの4原則や色の基礎知識に加えて、これら5つのコツを心掛けておくことで、基本を押さえたデザインを作れ、ユーザーにより効果的な訴求ができるようになります。
良質なデザインを作成するには、レイアウトや色に関する基本知識を押さえておくことが大切です。
レイアウトの4原則を理解することで、情報を見た目にも分かりやすく、効果的に伝えやすくなります。また、色の知識を持っておくことで、同じコンテンツでも与える印象を大きく変えることが可能です。
これらの基本知識を持った上で、ここで紹介した5つのポイントを活用することで、基本を押さえた分かりやすく、バランスの取れたデザインが作れます。
日本テレビアートが培ったノウハウとそこから生まれたサービスの概要、手掛けたデザイン事例を資料にまとめました。ぜひご覧ください。