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動画・映像制作の流れは? 必要となる工程を事前にチェック
動画・映像制作の流れは? 必要となる工程を事前にチェック

近年、多くの企業が自社コンテンツやプロモーションの一環として動画を利用しています。しかし、動画制作のノウハウがまだ不足している場合、「自社で行うのか、外注するのか」、「実写か、アニメーションか」など、悩む場面は少なくありません。
そこで本記事では、動画制作の流れについて、実写とアニメーションの違いを交えながらご紹介します。

日本テレビアート サービス概要資料

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動画制作の流れは種類によって異なる

動画を制作する手順は、納期や予算、スタッフの人数など、さまざまな要因により異なってきます。その中でも最も大きな要因が、「実写か、それともアニメーションか」という点です。両者の制作手順には共通している点も多いですが、「撮影か、収録か」など、異なる点も少なくありません。そのため企画段階からその違いを認識していないと、途中でスケジュールが非常に厳しくなる可能性もあります。

そのため、動画制作の流れを知る前の予備知識として、実写とアニメーションの違いを把握しておきましょう。

まず実写は、実在する人物や動物、モノや景色などを撮影する動画です。視聴者は被写体を通して製品・サービスを追体験できるため、共感してもらいやすいというメリットがあります。とりわけ食べ物やコスメ、景色やイベントなどに関しては、臨場感がダイレクトに伝わる実写動画が適しています。有名なインフルエンサーやタレントなどを起用すれば、企業への注目度も高まるという利点もあります。

一方アニメーションは、抽象的なイメージをわかりやすく伝えられる動画です。特に日本に暮らす人は、目で見えないもの・複雑で難解なもの・概念的なものなどがあれば、マンガやアニメーションを通じて理解することに慣れています。このため、かたちのないサービスなどを具現化して伝えたいなら、アニメーションが有利に働きます。魅力的なキャラクターを前面に押し出すことで、興味も惹きやすくなります。炎の中を泳いだり、雲の上を歩いたりと、現実にはできない演出も可能です。

このように、実写とアニメーションは、それぞれ異なる特徴を持っています。動画を制作する際は、ターゲットや伝えたいコンセプトに応じてどちらかを選択しましょう。

実写の動画制作の流れ

実写の動画制作の流れ

ここからは、それぞれの制作工程の解説に移ります。まずは実写から紹介します。

企画・構成

最初のステップは、企画・構成です。大まかなストーリーの流れを決めて、絵コンテを作成していく作業を指します。

絵コンテとは、いわば動画の設計図です。文字だけでなくイラストも描き込むことで、関係者全員が動画の全体像の共通イメージを持ちやすくなります。絵コンテに書かれるものは、各シーンの構図、各キャストの動き・セリフ、効果音、BGM、各カットの秒数、撮影場所など、実にさまざまです。動画を完成させるための必要事項が、全てこの絵コンテに凝縮されています。この絵コンテに沿って各自が役割を果たすことで、少しずつ動画が完成に近づいていきます。

このように重要な意味を持つ絵コンテですが、作成前に、次に挙げることを決めておく必要があります。

・実写動画をつくる目的・目標、ゴール(認知拡大、売上げ向上、ブランディングの確立など)
・想定するターゲット層(基本情報をはじめ、家族構成や職業、生活背景などを細かく想定する)
・配信する媒体(SNS、YouTube、デジタルサイネージなど)
・希望するコンバージョン(予約、購入、LPサイトへの流入増加など)

そうすることで、方向性にブレのない、一貫性のある動画の制作が可能になります。

撮影準備

この時点で、起用するキャスト(出演者)も決めていきます。日本では、基本「キャストは、競合する別の製品などのプロモーションに出演してはいけない」というルールがあるため、場合によってはキャストのブッキングが難航することも考えられます。スケジュールに余裕を持って、候補者を複数名ピックアップしておきましょう。

キャスティングが決まり、絵コンテも仕上がったら、撮影準備に移ります。各キャスト・スタッフのスケジュールを考慮しながら、撮影日時と撮影場所を決めていきます。天候や各キャストの都合などで延期になる可能性を考慮して、複数の候補を挙げておくのがお奨めです。また、撮影時間に関しては、光の当たり方をふまえて、日の出・日の入りの時間もチェックしましょう。

必要に応じて、事前にロケハン(ロケーション・ハンティング)という、撮影場所の下見・下調べを行うこともあります。複数人で現地を訪れ、本番のシミュレーションを行いながら、カメラ、照明、ドローンなど、その撮影でそろえておくべき機材などを手配しましょう。機材を搬入する場所、駐車場の台数も確かめておく必要があります。撮影当日までに、撮影前後のスケジュールまで考慮した香盤表(スケジュール表)も作成します。

また、撮影許可を得ることも大切です。道路で行うなら、現地を所轄する警察署の交通課に届け出ます。ショッピングモールや駅などの場合は、そこを管理している企業に申し出ます。

撮影

テスト撮影を行った後、本番の撮影に移ります。できればロケハンと同じ時間帯と同じ機材を使うのがお奨めです。撮影する際は、手ブレ対策に気を配りながら、映像に緩急をつけるために、複数のアングルとポジションから撮影しましょう。

なお、実写動画は基本的に別日でのやり直しがきかないので、責任者も同席し、その場で映像のチェックを行うのがお奨めです。

撮影素材の編集・MA

撮影を行った後は、映像に問題がないかのチェックを行います。絵コンテをもとに各カットをつなぎ、必要に応じてテロップやイラスト、データなどを加えていきます。

それと並行して、MA(Multi Audio)も行います。MAとは、セリフやナレーション、効果音、BGMなどを微調整し、音声面を完成させていくことです。「環境音が目立ち過ぎてセリフが聞こえないので、環境音を抑える」などの作業を行うことで、クオリティの高い動画に仕上がります。スタジオでMAを行う場合もありますが、大がかりになる分、費用はかさむ傾向にあります。

アニメーション動画制作の流れ

アニメーション動画制作の流れ

続いて、アニメーション動画制作の解説に移ります。

アニメーション動画には、おなじみの「キャラクターアニメーション」をはじめ、ロゴ・文字などに動きや音を加えた「モーショングラフィックス」、斜めからのカメラワークで2Dを3Dのように描く「アイソメトリックアニメーション」なども含まれます。

企画・構成

まずは、実写動画の企画・構成と同様、ターゲットと目的を決め、シナリオ・絵コンテを作成します。

実写動画でも言えることですが、伝えたいメッセージと到達したいゴールについて、しっかり深掘りすることは欠かせません。そして、それに沿ったストーリーを考え、キャラクターをゴールまで動かす構成をつくります。そして、そこにドラマチックな音楽が加わることで、魅力のある動画となります。

アニメーション動画の場合は、ストーリーの世界観とブランドカラーに合ったキャラクターをつくるために、希望するタッチやテイストのほか、「キャラクターを通して何を視聴者に伝えたいのか」というメッセージやコンセプトも明確にしましょう。

素材制作

次に、素材の制作に移ります。何よりも欠かせないのが、キャラクターのデザインです。キャラクターは会社の顔ともなる存在なので、デザインは慎重に行いましょう。

企業のキャラクターは、かわいい生き物にプラスアルファの要素を加えたものが一般的ですが、最近では人型のキャラクターも少なくありません。人型のキャラクターには、ゆたかな表情と動きを出しやすいなどのメリットがあります。ただし、露出が激しい服装などは嫌悪感を持つ人も多いことから、避けた方が無難です。

いずれにせよ、キャラクターを動かす段階で修正・変更するのは非常に手間がかかるので、自社で制作するか外注に依頼するかに関わらず、責任者が事前に必ずチェックし、最終的なOKを出すようにしましょう。

また、背景などの素材もこの段階で用意します。手描きだけでなく、CG・3DCGなどを用いる場合もあります。

音声制作

続いて、各キャラクターを担当する声優がセリフを当てたり、ナレーションを入れたりします。

日本では完成した映像に声を当てていく「アフレコ」が一般的でしたが、近年では映像の制作と声の収録を同時並行する方式のアフレコや、映像の完成前に声を当てていく「プレスコ」という方法も多く使われるようになってきました。ちなみに、海外の有名アニメーション映画などでも、プレスコは一般的です。なお、この段階でBGMや効果音を加えることもあります。

アニメーション制作

プレスコを採用する場合、先に収録した音声にあわせて映像をつくることになります。

セリフに合うようにカットを描くので手間はかかりますが、声優が映像を気にすることなく演技できるため、より自然でのびのびとした音声を得られるというメリットがあります。

一般的に、この工程が最も作業時間がかかるとされています。そのため、不必要な修正を極力避けるために、使用予定の素材を細かくチェックすることが大切です。

MA

アフレコを採用した場合、現場によってはここで初めて各キャラクターのセリフ、BGM、効果音などを入れていくこともあります。

この場合はスタジオで収録を行うのが主流で、動画内のあらゆる音を調整・演出する「音響エンジニア」が同行することもあります。費用がかさむ傾向にあるため、限られた予算内でアニメーション動画をつくるのであれば、前述のプレスコが費用面ではお奨めです。

自社で制作する場合のポイント

実写かアニメーションかに関わらず、自社で製作する場合には、制作スタッフなどの人的リソースやスケジュールをチェックし、通常業務に負担がかかり過ぎないようにしましょう。著作権や肖像権といった権利関係にも気を配る必要があります。

インフルエンサーやタレントはもちろん、被写体が自社の社員であっても肖像権は本人にあるため、事前に同意を得ることが大切です。出演した社員が退職した場合には、トラブルを避けるため別の動画へ差し替えることなども検討しましょう。

また、AIで生成した場合でも著作権が一部認められることがあるので、注意が必要です。

外注する場合のポイント

外注する場合のポイント

外部の制作会社に依頼する場合は、見積もりで費用を比較・検討するのはもちろん、自社のニーズに適した動画を作成してくれる会社かどうかも、しっかりと見極めなければなりません。

発注する際は、自社と製品・サービスのコンセプトはもちろん、ブランドイメージ、目的やターゲット、希望するゴールまで、イメージ通りに仕上げるために必要な情報を伝えられるよう、あらかじめコンセンサスを取ることが大切です。

まとめ

動画の種類は、実写とアニメーションに大別できます。制作の流れの基本は共通していますが、実写には撮影があり、アニメーションにはアフレコ(プレスコ)があるなど、異なる点もいくつかあります。そのため、両者の違いをよく把握した上で、動画制作に取りかかることが大切です。

自社で制作することも可能ですが、より高いクオリティを求めて外注する場合は、実績があり信頼できる制作会社を選ぶのがお奨めです。

日本テレビアート サービス概要資料

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