社員インタビュー
得意・不得意をチームでカバーし、クオリティとスピード感を両立 ┃ CGデザイナー・藤井真吾
得意・不得意をチームでカバーし、クオリティとスピード感を両立 ┃ CGデザイナー・藤井真吾

テレビ番組だけでなく、映画やプロモーションビデオ、街中のデジタルサイネージ広告まで、今やメディアやジャンルを問わず欠かせない技術となっているCG(コンピューターグラフィックス)。様々なソフトを組み合わせて作り上げる技術力が要求されニーズも高い分野ですが、どのくらい制作期間が必要なのか、あるいはどのぐらいの予算がかかるのかなど、専門外の方からすれば分からないことも多いでしょう。

そこでグラフィックデザイン部でCGデザイナーとして活躍中の藤井真吾に、普段の職務内容やデザイナーとしてのキャリアステップ、日テレアートのグラフィックデザイン部の強みなどについて教えてもらいました。

挫折を経ても諦めずに目指したエンタメ業界

  • テレビ業界やCGデザイナーを目指したきっかけから教えてもらえますか?

藤井:学生時代にテレビ局でタイムキーパーとテロップ出しのアシスタントとして働いていたのですが、そのときの現場の一体感が忘れられず、ずっとエンターテイメント業界に就職したいと思っていました。ひとつの番組にたくさんの人が関わり、みんなで目標に向かって頑張るのはお祭り感があって働きがいがあるなと当時から感じていたんです。それで転職に向けて社会人として働きながらCGの専門学校に通っていたのですが、当時の自分にとってCGは難しすぎて3ヶ月ほどで挫折してしまった経験があるんです。

 CGではなくテロップの作成なら自分でもできると思い、最初はテロップデザイン部の所属として日テレアートに入社しました。入社してしばらくの間は報道番組のテロップ作成をおこなっていたのですが、思い出深いのは生放送の選挙番組ですね。膨大な量の候補者のリストやグラフなど、テロップ制作の数も大量で間違いを犯せないですし、選挙当日は生放送の最中にどんどんと情勢が変わるので逐一対応しなくてはいけない。事前の準備段階から緊張感があり、無事に放送が終わった後はとても感動しました。

  • テロップデザインとCGデザインでは共通するところも多いのですか?

藤井:そうですね。テロップもいわばCGなので、やっていることはそこまで変わらないです。CGだとできることの幅が広がるイメージですね。テロップの業務をしていくうちに、テロップのソフトで動きをつけることに興味を持つようになったので、もっと幅を広げるためにCGソフトのAfter Effects(デジタル合成やモーション・グラフィックスの制作ができる動画編集ソフト)の使い方を独学しながらだんだんと機能を覚えていきました。本格的に使い方を学ぶようになったのは、2014年にテロップデザイン部からグラフィックデザイン部に異動になってからです。

また、テロップデザインがCGデザインとわかりやすく違うのは3Dの表現だと思います。ニュース番組などで流れる事件の再現CGなどは3Dで表現しています。犯人がどのように立ち去ったかなどを事実に基づいて再現するCGですが、夕方のニュースに放送するための依頼がお昼頃に届いて、2〜3時間で完成させなければなりません。時間との勝負ですが、できる限り視聴者に現場の雰囲気が伝わるように作らなくてはいけませんし、作り手としてはなるべく見栄えよく仕上げたい。そのため、人やクルマなど頻繁に使用する素材はある程度作り込んだものを用意するなど、スピードとクオリティ、正確性のバランスを保つために工夫を凝らしています。

得意・不得意を補いながらチーム一丸で制作

  • 最近のニュースは再現映像がだんだんリアルになっている印象だったのですが、そんな努力が陰に隠れていたんですね。テロップデザイン部で6年の勤務を経てグラフィックデザイン部に異動になりましたが、きっかけはあったのですか?

藤井:CGに興味があると言っていたのを会社が覚えてくれていたようですね。CGは使うソフトが多いうえに技術革新も早く、今まで使っていたソフトや技術がすぐに時代遅れになってしまいます。私が異動になってからも、最初は「ソフトイマージ」という3DCGソフトを使っていたのですが「Maya」というソフトに切り替えて、使い方に慣れたあたりで今度は「シネマ4D」が良いということで乗り換えて……と、常に新しいソフトの使い方や技術を学んでいます。

 ただ、ひとくちにCGと言っても様々なソフトを組み合わせながら制作するのが常。3Dグラフィックを作成する「モデラー」や、動きをつけるための設計をおこなう「リガー」、でき上がったアニメーションを実写映像と組み合わせてひとつの映像にする「コンポジター」などいくつかの種類に分かれるのですが、日テレアートの場合は基本的に一人でそれらをすべてこなせるような体制にしています。なので3Dの制作ソフトだけ覚えればいいという話ではなく、テクスチャーを作るソフトやアニメーションを作るソフトなど学ぶ範囲が非常に広く、異動した当初は苦労しました。

 ですが、部内にそれぞれの分野のプロフェッショナルがいるので、疑問があっても社内ですぐ解決できるんです。そうやってスキルアップするに従いできることが増えて仕事が楽しくなっていきました。また、そういった様々な知識経験を積む中で自分はCGデザイナーという肩書ですがCGクリエイター的な動きをすることが得意なんだなと思うようになりました。

  • CGデザイナーとCGクリエイターにはどのような違いがあるのですか?

藤井:一般的に定義されているわけではないですが、自分のなかではCGデザイナーはキャラクターやロゴのデザインからおこなう人、CGクリエイターはグラフィックデザイナーが作成したキャラやイラストをもとに動きをつけたり3Dにしたりという作業をする人と認識しています。

 たとえば日テレの番組『見取り図×ニューヨークのなりたいテレビ』のタイトルは私がCGで動きをつけたのですが、もとになった番組タイトルやイラストはグラフィックデザイン部の矢田が制作したものです。社内には美大などで専門的に学んできた人や絵心のあるスタッフも多いので、ビジュアル作りは得意な人に頼りつつ、自分は動きを付けることに専念しました。それぞれの得意分野を活かして、協力し合い、頼りながらひとつのものを作り上げられるのは日テレアートの強みだと思います。

作業スピードはクオリティに直結する

個人プレーとチームプレーがうまく噛み合うことで質の高いクリエイティブを生み出せるのが、グラフィックデザイン部の特徴。そのなかで藤井はクオリティとクライアント満足度の向上のために、スピード感も重視しているといいます。限られた時間でより質の高いものを目指すテレビ業界ならではのこだわりがそこにはありました。

  • それぞれスタッフごとに強みがあるなかで、自分の強みや得意分野はどこだと思いますか?

藤井:作業スピードですね。締め切りギリギリに提出するのではなく前倒しで完成させておけば、クオリティチェックや修正の時間を確保することができますし、結果的にクオリティを高めることができますから。スピードを重視しているのは、秒単位での対応が求められるテロップデザイン部の頃の経験が関係しているように思います。クライアントにとってもギリギリまで心配しなくて済みますし、早いと先方も喜んでくれますよね。

  • そうですね。続いて予算感についてお聞きします。マスコミ以外のクライアントが依頼しようと思っても、実際の予算感が分かりづらいこともあると思いますし、内容次第で金額も大きく変わるものだと思います。どのように見積もりを取っているのでしょう?

藤井:CGにも色々あって、報道の再現ムービーのようにシンプルなものからフルCGで作る動画、番組タイトルのように尺は短いけれど凝った作りのもの、番宣ポスターまで、日テレアートには多種多様な実績があります。ですから、具体的な作例を見せながら「このぐらいの作り込みで何分の動画ならいくら」というふうに、予算感を伝えることが可能です。

 実際にエンターテイメントや広告の分野で使われてきた様々な作例を見ながら予算に応じた提案ができるので、費用の想像がついていないクライアントも安心して依頼できると思います。

クライアントへの提案も、まずはユーザー目線に立つことが重要

一度は挫折したものの、現在は日テレアートの第一線でCGデザイナーとして活躍している藤井。最近はフルCGのコンセプトムービーも担当し、ますます実力を伸ばしています。そんな藤井が仕事で大切にしていることや、CGデザイナーの魅力を聞きました。

  • CGデザイナーという仕事の魅力はどこにあると思いますか?

藤井:テレビの映像コンテンツはディレクターがいて演者がいてカメラマンがいて……とチームで作っていくことが基本です。ですが極端な話をすれば、CGは絵コンテさえ決まってしまえば、自分の頭にあるものを動かして、ひとりで完成させることができます。

 私が担当させていただいた「あおぞら投信」のコンセプトムービー『十年十色』は、そうやってすべてCGで制作した動画です。こうしたCGを使ったサービス説明動画や会社紹介の動画の制作は大きな需要がありますし、クライアントの要望を聞きながら一緒に作りあげるためやりがいのある仕事でした。

▲あおぞら投信『十年十色』コンセプトムービーは公式サイトで視聴可能。
  • CGの業界は日進月歩だと思います。そのなかで今後はどういった需要や変化が生まれてくると思いますか?

藤井:最近は駅に設置されているデジタルサイネージ広告(印刷したポスターではなくディスプレイにビジュアルを映し出す広告)に、シネマグラフという画像の一部や背景が動いているものを見かけるようになったと思いますが、それらの制作にもCGの技術が使われています。番宣ポスター以外にも商品紹介の広告ビジュアルなどでシネマグラフを活用したビジュアルを作れば、より機能的にも分かりやすいアプローチが可能になります。

 ただし、新しい技術は活用の仕方も含めて考える必要があります。たとえば最近はAIの進化が目覚ましいですが、キャラクターそのものをAIで自動生成することには著作権の問題なども含めて賛否両論ありますよね。さきほど説明したシネマグラフもクリエイターとしては興味深い分野ですが、ユーザー目線に立ったときに本当に必要かどうかという点は考えるべきでしょう。クライアントへの提案においても、最終的に見る人がどう感じるかを考えながら、幅広い視点を持って提案できればと思っています。


日テレアートではセットデザインはもちろん、グラフィック、CG、Web制作など総合的なクリエイティブ制作がご提案可能です。 お気軽にご相談ください。

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