これまで日本テレビのグループ会社として、テレビ美術やイベントに関わる業務全般を手がけてきた日テレアート。2020年より業務拡大の一環として、業界を問わず幅広いクライアントからの制作依頼を受けられる体制を構築し、テレビ業界で長年培ってきたノウハウを活用してクライアントの課題をともに解決していくビジネススキームへとシフトしつつあります。
その変革の先頭に立っているのが、2020年に社内に新設されたビジネスプロデュース室です。ビジネスプロデュース室に所属する滝澤奈美子に、これからの日テレアートが目指す仕事の在り方や、日テレアートだからこそできることについて話を聞きました。
ビジネスプロデュース室は2020年に新設された新しい部署ですが、どのような目的があったのでしょうか。
滝澤:当社は日本テレビの番組セットや番宣ポスター、テロップ制作など、日テレ関連の美術制作を請け負うグループ会社としてスタートしました。しかし、最近はオンデマンドの配信が増えたりYouTubeやライブコマースが登場したりと、映像にまつわる産業構造が大きく変わっています。時代の変化に対応しつつ私たちが持つクリエイティブをより発揮していくために、日本テレビ以外の業務も積極的に手がけるべく立ち上がったのがビジネスプロデュース室です。
従来の私たちの仕事は日テレのコストセンターとしての業務がほとんど。ですから営業部やマーケティング部、広報部といった一般企業では当たり前に存在する部署がなかったこともあり、それらの機能をビジネスプロデュース室が包括して担当しています。
滝澤さんが現在の役職に至るまでの経緯も教えてください。
滝澤:テレビ業界を経験したのは大学時代。中京テレビでアルバイトをしていたんですが卒業後は地方銀行に就職しました。ただ、自分のやりたいことに情熱を注いで楽しく働いていたテレビ業界の働き方が忘れられず、日テレアートに転職したんです。その後テロップデザイン部に所属して現場業務を経験し、最終的にはテロップデザイン部の管理業務を経て、ビジネスプロデュース室が立ち上がったときに今の部署に異動になりました。
当社のスタッフはデザイナーがほとんどなのでクリエイティブワークに集中したい人が多いこともあり、私はテロップデザイン部時代も番組側と向き合ってオペレーションを含めて折衝する役割でした。そういう業務的な適性もあって現在の担当になったのだと思っています。
テレビ美術の枠組みを超えて、あらゆる業種・企業を対象に自社のスキルやノウハウを提供していく体制へとシフトしている日テレアート。しかし、長年テレビ番組の制作に携わってきた印象が強いため、そのイメージから脱却することもビジネスプロデュース室の任務だと滝澤は話します。
生まれ変わった日テレアートを広めるために、どのような施策を行っていますか?
滝澤:日本テレビの知名度のおかげで日テレアートも社名の認知度は高いものの、やはり「日本テレビの美術制作をやっている会社」という認識であることは否めません。そのためテレビ業界に限らず様々な業種のクライアントに対して案件も引き受けていることや我々が持っているスキルを世の中に対してアピールするべく、各種SNSやオウンドメディアの運用をおこなうなど、ビジネスプロデュース室が中心となり様々な施策を走らせています。
既存顧客との取引拡大と並行して今取り組んでいるものの一つとして、SNSを通じた日テレアートの紹介・デザインのお役立ち情報の発信があげられます。クリエイティブに関する悩みを抱えている潜在的な新規顧客を掘り起こし、リード獲得を目指しているところです。
実際に部が立ち上がってから、どのような変化がありましたか?
滝澤:これまでもNNN系列局(日本テレビをキー局とする民放局ネットワーク)の番組セット制作を依頼されるなど、テレビ業界の美術制作に関しては相談いただくこともありましたが、銀行やホテルなどメディア業界以外のクライアントも増加しています。
また広告出稿やインバウンド施策の効果が少しずつ現れメディア業界以外のお客様と接する機会が多くなったことで、各業界の課題感やエンタメ業界の様々なデザインをしてきた日テレアートだからこそ提案できることなど、日々たくさんの学びがあります。
近年はYouTubeやSNSなどのプラットフォームを活用したライブコマースが普及したこともあり、一般企業も積極的に動画配信をおこなうことがマーケティング活動に当たり前に取り入れられるようになってきています。そうした企業に対して、日テレアートが番組制作で培ったスキルやノウハウを提供させていただくことで、質の高いコンテンツ制作を支援できればと考えています。
過去にも系列局やグループ会社の案件を請け負ってきた日テレアートですが、それらはあくまでも同業種。メディア以外の業界に対して、日テレアートはどのような強みを発揮できるのでしょうか。
テレビ美術以外の制作も手がけていくとのことですが、今後は具体的にどのような案件が想定されるでしょうか?
滝澤:実際に既に手がけた事例だと、フォトスタジオの内装・照明設計や、読売ジャイアンツと東京ドームホテルがコラボレーションしたコンセプトルームのデザインや施工などもご依頼いただきました。当社のクリエイティブの根幹はやはりデザイン力。ロゴやポスターなどグラフィックデザインはもちろんですが、Webサイトのデザイン・構築や動画制作などデジタル領域まで幅広く制作を請け負っています。
一般企業もSNSやHPなどデジタルメディアを通じた発信が主流になっており、その中で動画は一般消費者や見込み顧客に強くリーチできるツールだと考えています。映像制作に関わるデザインについては当社が最もノウハウを蓄積している分野ですので、デジタルメディア☓動画で情報発信を考えている企業からのご相談も積極的にお受けしたいです。過去には会社説明会用の動画をイラストと実写を交えてより伝わりやすく制作するなどいくつかの事例を実施しており、ご好評をいただいています。
今まで担当した案件で印象に残っている事例はありますか?
滝澤:以前、美容系などの動画を配信している会社から「スタジオの内装を工夫して映像のクオリティを上げたい」と相談があったんです。撮影スタジオの下見にうかがったところ、照明が課題になっていることが分かりました。そこで当社の照明スタッフの同行のもとスタジオの照明計画を設計し、その後必要な機材の手配も当社でおこなうことになったんです。
配信の撮影では市販の照明機材を使っている場合も多くあります。セットや小道具を工夫することももちろん重要ですが、プロ用の機材を使ってきちんとしたライティングを施すことで驚くほど映像クオリティが変化します。実際にこのときのクライアントもその変わりように感動していました。
テレビは独自のノウハウや技術が多い業界です。この案件を通して私たちだからこそ支援できることは必ずあるなとあらためて思いましたし、このときのような感動を多くの方に届けたいと強く感じましたね。
さきほど動画制作の需要の高まりについて話していました。テレビ関連の制作会社に依頼すると高額になるのではないか、と危惧しているクライアントも多いのでしょうか。
滝澤:たしかに地上波の番組を1本作る製作費は決して安くないこともあり、問い合わせをいただいた際に「価格が高そう」というイメージを持っていらっしゃる方も少なくありません。ただ、我々のサービスも実は一般的な相場感でご提供可能ですし、なによりも日テレアートの強みはテレビ番組の制作で培ったクオリティを担保できるところと、総合的なデザインの提案力。たとえばWebサイトのリニューアルに伴うコーポレートロゴの作成、サイト上に載せる動画の制作、セールスプロモーショングッズの企画制作まで、当社なら必要に応じて一気通貫で引き受けられますし、これは各分野に精通したプロが在籍しているからこそです。
また、当社のグループ会社には番組制作会社からイベント会社、放送技術の会社やシステム開発事業の会社、インフルエンサーマーケティング事業の会社まで、様々なクリエイティビティを発揮する企業が揃っています。必要に応じてビジネスプロデュース室が窓口となり、横のつながりを活かして、大規模なプロモーションを考案することも可能です。
クライアントの課題解決の為の様々な提案も行うのがビジネスプロデュース室、というわけですね。
滝澤:新規顧客の開拓だけではなく、顧客との折衝や窓口対応もおこなっていますので、たしかにそうかもしれません。他業種案件は従来のテレビ業界の仕事とは方向性が違うこともありますし、クライアントによってクオリティ重視なのか費用重視なのか、求める内容も千差万別です。
そのためまずはビジネスプロデュース室が先陣を切ってヒアリングし、クライアントと現場スタッフとの橋渡しになるのも重要な役目です。テレビ業界のクライアントであればセットを作るのにいくら費用が掛かり、どのぐらいの期間が必要かなど共通認識としてありますが、他業種となるとそうはいきません。ですので、一度気軽にお問合せいただければ納期から金額まで当社から提案させていただきます。セット制作や照明プランの提案など空間デザインを伴う大規模な案件だけでなく、ウェブ広告用のバナーやサービスのロゴデザイン、イメージキャラクターの企画や制作も可能です。「こんなことできないかな?」「ちょっと作りたいものがあるけど、どこかに相談できないかな?」といった悩みがあれば、まずはお声がけください!
日テレアートではポスターやWeb用広告などのクリエイティブはもちろん、イベントのセットプランや配信番組におけるセット制作、空間プロデュースまで幅広い分野をワンストップで対応できます。お気軽にご相談ください。